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読書記録:『アダンの風』プロット集/ 阿檀書房


青葉市子さんがアルバム「アダンの風」を作る際に書き溜めたメモやスケッチを集めたプロット集。
冒頭にプロットと称した短編小説が掲載されている。中程がスケッチやメモ、後半が写真集になっている。
著者説明欄によると、アダンの風は架空の映画のためのサウンドトラックとして制作されたらしい。

軽く内容:
(ネタバレなしですが知りたく無い方は飛ばしてください)
霧鳴島という純血種族の住む島で、最後の1人として生まれた少女は予知能力を持っていた。気味の悪がった人々によって島流にあった少女がたどり着いたのは「アダンの島」。
そこには、拾った貝で気持ちを伝え合うクリーチャーと美しい自然があった。
言葉のないその島に辿り着くまでに、少女も人間の言葉を失っていた…

感想

小説(プロット)から楽曲や歌詞になっていく過程が垣間見える良い資料集だった。

生物のスケッチや勉強の痕跡から、アーティスト自身が勉強を深めながらアダンの風の世界観を広げていったことが伺える。
制作過程で歌詞の言葉を厳選し、曲のメロディを決めることで、アダンの風の世界を抽象化していく。そうして音楽という形でアダンの風は完成したのだなと思った。

一つの物語から音楽を生み出すまでの思考と過程が追えるのが面白かった。
音楽が生まれる過程というのを知る機会がなかったので、音楽の出来方ってこんな感じなんだと素直に勉強になる。

私は普段、音楽を聴く時はSpotifyでシャッフル再生で聴いたりして、順番なんか関係なくインスタントにBGMとして消費してしまっている。
完成品の音楽しか知らない自分にとって、
音楽制作の中間制作物が見れたことで、制作時の裏を想像できるようになったのは良い経験になった。

おわり

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