見出し画像

旅する手しごと〜灯(あかり)を持ち歩く暮らし〜

移動生活の中で「あってもいいな」と思ったモノを形に

私は定額制の全国住み放題「ADDress」を使って、月の3分の1は多拠点生活をしています。移動しながら生活し、働くので、必然的に旅支度はコンパクトに収まるものを追求するようになりました。
必要最低限の所有物だけに絞り込む「ミニマリスト」の域にはまだまだ到達しませんが、なるべく物を減らし、身の回りのものを整理整頓できるように気をつけています。

だから、「買う」こと「所有する」ことには、以前にも増してこだわりが増えました。「手頃で安いもの」は廃棄の対象になりやすいので、「本当に必要か?」というのをよくよく考えるようになりました。ただ、本当に必要なものだけど、便利で無機質なものばかりを追求すると、今度は暮らしが味気なくなるものです。

「別にどうしても必要というわけではないけど、使い続けてみたい」と思えるような、癒し的要素を含むモノを旅のお供にしたらどうか。日本の伝統工芸を掛け合わせられたらユニークだな。
そう思い、『旅する手しごと』の商品開発を始めました。私は職人ではありませんので、プロの作り手に依頼しています。

過剰なインフラに頼らず、自然の温もりも感じてみたい

現代の暮らしは電気やガスなどインフラに支えられ、それが充足されていればいるほど「快適さ」を感じるものです。

でも、本当にそのインフラは無くてはならないものなのか?
と、ふと自問することも多いです。
「きっとこの家は風が抜けやすい構造になっていて、家の中のエアコンをフル稼働しなくても過ごせなくはないかもしれない」と思ったり、「こんなにスイッチがたくさんあって電気が至る所についているけど、照明はもっと減らしても生活には困らないのではないか」と思ったり。
過剰なインフラ供給は住まいをより快適にする一方で、昔の人が営んでいた杢(もく)と寄り添う暮らしからは程遠く、残念に感じることもあります。

「やり過ぎない程よい明かり」を考える時、私の頭に真っ先に思い浮かんだのが提灯でした。和紙に灯されるほのかな光は、優しさや温かみを感じるものです。

そこで、元同僚の紹介で出会った福岡県八女市の「シラキ工芸」さんに依頼し、『旅する灯(あかり)』の開発をスタートしました。

日本の伝統的工芸品にも指定されている八女提灯は、お盆の時に使う提灯を主に生産してきました。八女は和紙の産地でもあり、竹林も多いので、提灯づくりに適した環境でした。
ただ、お盆の時に仏壇の前に提灯を掲げて先祖に感謝をする、という古来の文化は薄れつつあり、暮らしの変化とともに生産量も減っているのが現状です。現在はお盆提灯に限らず、店舗の軒先や祭りの会場や神社など、用途を広げて工芸の技術を継承しています。

若い女性職人さんを中心に、すべてを伝統の手作業で

シラキ工芸さんも、お盆提灯づくりを続ける一方で、多種多様な提灯づくりに挑戦しています。後継者に悩む産地が多い中で、若い職人さんを多く抱えているのも特徴です。

今回の商品開発では、折り畳めて持ち運びしやすいランプシェードに挑戦していただきました。

複数種類の形があります

ブナ材の土台に、八女の手漉き和紙を使ったランプシェードで、電装(単四電池2本/LED電池灯)の仕組みになっています。110mm × 140mmのコンパクトサイズで、電池2本分を含む軽量100g。和紙で出来ているため、悪天候の野外キャンプなどには適しませんが、家の中の小さなスペースにも置くことができます。

ほのかな明かりで食事のシーンも彩ります

『旅する灯(あかり)』なので、シラキ工芸の女性職人さんには「旅」をコンセプトとした手書絵をお願いしました。全部で3パターンあります。

次の移動先へレッツゴー!てくてく猫ちゃん
移動中に一休みするカエルちゃん
【制作途中】次はどこに行こうか?目的地を考え中の青い鳥ちゃん

「旅」をイメージした絵柄を多数描いてもらう中で、旅と動物の絵柄がとても愛らしく、このテーマに絞ってパターンを完成していただきました。もちろん、すべて職人さんの手描きです。一つ一つ時間と手間をかけて、描き上げていただきます。

絵柄を入れる前の火袋作りも昔ながらの手作業です。

手の感覚を頼りに、均等に螺旋状に和紙を巻いていきます

旅支度に1つ、伝統工芸を取り入れてみる生活はちょっと贅沢かもしれませんが、贅沢だからこそ大切に愛用してくれると期待しています。伝統工芸を生活に取り入れることで、日本文化の技の継承にも貢献できます。

手漉き和紙の持ち運べる折り畳みランプシェード『旅する灯(あかり)』をバッグに入れて、仕事のお供、食事のお供、読書のお供として活用していただけると嬉しいです。

時には家にあるたくさんのスイッチを消して、和紙に灯された手元の明かりに頼ってみる生活も、良い気分転換とリフレッシュになるのではないでしょうか。

旅する手しごとの開発へ!クラファン支援者募集中

東京都心から片道1時間半〜2時間という好アクセスで豊かな自然の環境に、空き家だった伝統的な家屋をリノベーションしています。
神奈川県唯一の村「清川村」の宮ヶ瀬湖畔に立地し、ゲストハウス『宮ヶ瀬手しごとの家』として2022年10月オープンを目指して工事を進めています。

家の改修工事の一部や「旅する手しごと」の開発費用として、皆さまからの支援を募っています。空き家活用や伝統工芸・民藝などの日本の伝統文化の普及をコンセプトに掲げる当プロジェクト。一人でも多くの方に共感していいただき、応援していただけると嬉しいです。

詳細は以下のサイトに紹介していますので、ぜひご覧ください。シェアも大歓迎です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?