【小説】西日の中でワルツを踊れ③ 世界そのものに見限られないように、ぼくは外へ出た。
前回
岩田屋町は山に囲まれた町だった。
住宅が密集しているところがあって、やや大き目な湖も確認できた。
人と自然が隣り合う場所。
町を見下ろし、ぼくは事細かに目で追っていった。
それは完成したパズルのピースの継ぎ目を辿るような作業だった。家と家が隣り合い、公園があって森林がある。
何処にも抜けた空白はなく、ぴったりと寄り添い合っている。
「ナツキさん」
振り返ると、紗雪が立っていた。
彼女の横には見慣れない女性の姿もあった。
黒のシャツにジーパンという