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西日の中でワルツを踊れ

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「西日の中でワルツを踊れ」をまとめています。
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#記憶喪失

【小説】西日の中でワルツを踊れ⑭ 彼は死なない、という無慈悲なまでの信頼。

前回  紗雪の話が終わったのが分かって、ぼくは何を言えば良いのか想像もできなかった。  …

さとくら
1年前
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【小説】西日の中でワルツを踊れ⑪ 十五日前に失った記憶に関わる三人の男。

前回  しばらくテレビの音だけが店内を満たしていた。  カレーは朱美さんが言うように確か…

さとくら
1年前
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【小説】西日の中でワルツを踊れ⑩ 田宮由紀夫と川田元幸。どちらかの名前に聞き覚え…

前回  朝食を終えた後、しばらく有と談笑して病院を出た。かの子の家がある隣町へと足を向け…

さとくら
1年前
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【小説】西日の中でワルツを踊れ⑨ ぼくは紗雪の服を脱がしてみたかったし、ベッドに…

前回 「さっき話をした川島疾風が行方不明になったのが二週間前で、かの子ちゃんのお兄さんが…

さとくら
1年前
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【小説】西日の中でワルツを踊れ⑤ 夢は呪い、と死者は言った。

前回 「それで、朱美ちゃんが見て欲しい人って?」  朱美が二杯目の紅茶をぼくと紗雪のカッ…

さとくら
1年前
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【小説】西日の中でワルツを踊れ④ 死者は最も弱い他者です。口も利かず、動きもしな…

前回  久我家は神社を下りた駐車場の奥に一軒家だった。  隣接した家もあって「あちらにも…

さとくら
1年前
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【小説】西日の中でワルツを踊れ③ 世界そのものに見限られないように、ぼくは外へ出た。

前回  岩田屋町は山に囲まれた町だった。  住宅が密集しているところがあって、やや大き目な湖も確認できた。  人と自然が隣り合う場所。  町を見下ろし、ぼくは事細かに目で追っていった。  それは完成したパズルのピースの継ぎ目を辿るような作業だった。家と家が隣り合い、公園があって森林がある。  何処にも抜けた空白はなく、ぴったりと寄り添い合っている。 「ナツキさん」  振り返ると、紗雪が立っていた。  彼女の横には見慣れない女性の姿もあった。  黒のシャツにジーパンという

【小説】西日の中でワルツを踊れ② 見渡す限り真っ平らな海のまん中にぽつんと一人浮…

前回 「はい」  紗雪は諦めたように頷いた。「ナツキさんは記憶を失い、私が電話をした時に…

さとくら
1年前
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【長編小説】西日の中でワルツを踊れ① 重みを失った缶コーヒーのように。

 缶コーヒーは既に空だった。  座っているベンチから十歩ほどの距離にゴミ箱があった。  缶…

さとくら
1年前
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