紙のようになりたい

私は高校生の時、バレー部でした。その時好きだった練習があります。それが、

回転レシーブの練習です。

回転レシーブは、ボールをレシーブし、その勢いのまま体ごと一回転してそのまま体勢を整えるという、スポ根マンガの象徴のような技です。練習はしていたのですが、実は試合で一回も実践せぬまま、3年間を終えました。

けれど、何故か私はこの練習が好きだった。

やり方はこうです。

まず、長袖を着ているかチェックします。そして、手を袖の中に入れて、手が摩擦でこすれないようにします。(ちなみに、バレー部員のジャージの袖に穴が空いてることがよくありますね。それは、この練習によるものです)この時点で、この技は実践向きでないことがわかります。そんな萌え袖をしている暇があるならば、普通に足を動かしてレシーブすればいいだけです。
いや、本当に捨て身になったら、手がこすれることなどおかまいなしに、つっこんでいかなければなりません。むしろ、それが回転レシーブの本質かもしれません。そう、

捨て身です。

実際、やってみると、結構怖くて勇気がいることがわかります。えいやっと、片手を先の方に伸ばして床に滑り込み、そのまま足を上げて1回転します。最初はなかなかできません。

私はこれをやる時にいつも心していることがありました。それは、

「私は紙だ」と、思い込むことです。

自分が薄っぺらい紙だと思えば、ひゅるりと床にすべりこんで、くるりと1回転することなど、なんの痛みもありません。風に吹かれてくるくる回るのと一緒です。

こうすると、恐怖心が薄れます。なので私は、回転レシーブの練習は、自分を紙だと思う心の鍛錬だ!と思ってやっていました。
スポ根ですねぇ〜

これは、今でもたまに役立っています。
すぐに私は何かしらのことで不安になったりするのですが、「自分は紙だ」と思うと、何故かすっと楽になります。

あら、自分は紙なのね。じゃあ、ま、いっかという感じです。

自分が苦しくなるのは、自分に期待があるからだと思います。自分がたいしたことない存在なんだと思えば、失敗しても、ダメージは少ないし、バカにされても、ああ、そうですね。と受流せます。

なので私は

紙になりたい。真っ白なコピー用紙みたいになりたい。