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印刷用紙を選ぶ際の簡単なチャートを作ってみました。

印刷物を作る際、皆様はどのようにして紙を選ばれているでしょうか。印刷会社さんにお任せという方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、好きな紙を選べばいいといえばそうなのですが、とはいえ基本はあると思っていて。料理の写真が並ぶ高級レストランのパンフレットだったら、やっぱり料理のシズル感を再現できてかつ高級感が感じられる紙がいいと思うんですよね。料理がまずそうに見えて紙質もペラペラだと印象が悪くなってしまいます。

とはいえ紙の種類は膨大すぎて、紙屋に勤めていたときですら「覚えきれん!」となっていたので、私が思う紙選びの基準をざっくりチャートにしてみました。

もちろん、基本を押さえたうえであえて外すのは全然アリですし、あくまでも私の思う基準なので、参考程度にさらっと見ていただければ幸いです。

今回はオフセット印刷でパンフレットまたはフライヤーを作ると想定して作りました。新聞折込のチラシやパッケージ、はたまた印刷方式が変わるとまた基準が変わってくるので…。そう考えるとやっぱり紙って奥が深い。


塗工紙か非塗工紙を選びましょう

紙選びには厚みや色の違いも重要ですが、印刷をする場合は、やはり印刷の仕上がりが一番重要かなと思います。

紙の印刷上がりを左右するのは、表面を塗工しているかどうか。表面に塗料を塗って印刷の仕上がりを良くした紙を塗工紙、何も塗っていない紙を非塗工紙といいます。


塗工紙…印刷がグロスにあがる

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非塗工紙…印刷が沈む

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で、一口に塗工紙といっても種類がたくさんありまして…。非塗工紙も同様です。

というわけで、主によく使う塗工紙(アート紙、コート紙、マットコート、ラフ・グロス)と非塗工紙(上質紙・特殊紙の非塗工紙)に分けてチャートを作りました。

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だいぶざっくりですが、こんな感じでしょうか。筆記適性が欲しかったら非塗工紙、とかもあるんですが、全部入れるとわけがわからなくなるので、なるべく簡素化しました。


塗工紙の種類

簡単にですが、それぞれの紙の特徴を説明してみます。

アート紙やコート紙は表面に塗工された量で細かく分類されているんですが、そこまで覚える必要はないと思うのでこちらもざっくりといきます(笑)。

アート紙…最も印刷面に光沢がでる。車のカタログなど光沢感を出したい写真に向いている。金額はやや高めの印象。

主な銘柄:サテン金藤(通称サテ金)、ハイマッキンレーなど


コート紙…印刷用紙で一般的なものはコレ。A4カラーのチラシなどによく使われる。紙の表面にも光沢がある。

主な銘柄:オーロラコート、OKトップコートNなど


マットコート…コート紙と同じく一般的なチラシによく使われる。紙の表面に光沢感がないので、読みやすい。コート紙よりも少し高級感が出る(これは個人の感想)。

主な銘柄:ユーライト、シルバーダイヤ、ニューVマット


ラフ・グロス…本来、印刷を良くするためには紙の平滑度を上げなければいけません。言い換えると、紙の表面がつるつるであればつるつるであるほど、印刷上がりは良くなるんです。

そんな中で、紙の質感を残しつつ、印刷の再現性を良くしたのがラフ・グロス。金額は高いですが、ホテルのパンフレットなど高級感を出したい場合におすすめ。

主な銘柄:ヴァンヌーボV-FS、ミセスB-F、Mr.Bなど


非塗工紙の種類

非塗工紙にもたくさん種類があるのですが、パンフレットで使うとしたら以下の2つでしょうか。

上質紙…「上質」と名がついていますがお安い紙です。というか紙の基本と言ってもいいかもしれないですね。コート紙やマットコートの塗工する前のベースの紙にもなっています。表面はつるっとしています。コピー用紙みたいな感じですね。あまり写真のない文章だけの冊子に最適かと思います。


特殊紙…表面に風合いのある紙。おすすめはアラベールーFS!コレは私が紙屋時代に一番提案したし、デザイン事務所に配達した紙です(笑)。

一般的に塗工紙と非塗工紙を比べると、塗工紙の方が印刷がキレイに仕上がるわけですが、アラベールは非塗工だけど印刷上がりがいいのが特徴です。(もちろん塗工紙のような光沢はでませんけれども)


紙の違いって一般の人に伝わってる?

紙って本当にたくさんの種類があるんです。

紙屋に勤めていたとき、私は紙の違いがわかるし、もちろんデザイナーさんもわかってくれる人が大半だし、だけどどこかで、紙に興味のない人に多少の違いが伝わっているのだろうか…と思う自分がいました。紙屋にいると、紙を知らない人と話す機会が減るので、どんどんわからなくなるんです。

今、私は紙屋を離れて仕事をしているんですが、この前アラベールでポストカードを作ったんですね。

出来上がったポストカードを社内の人たちに見せたら、口を揃えて

「あー!なんか良い紙!」って言ったんですよね。

そのとき、「良い紙を使えばその良さは伝わる」ということをきちんと実感できた気がします。


紙選びはファッション選びに似ている気がします。自分に似合う服を選ぶように、中身にあった紙を選んであげる。自分で紙を選ぶとまた仕上がりが一味変わると思いますよ。

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