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色紙(いろがみ)の魅力と使い方をプレゼンしたい

こんにちは。今日は、色紙について書いてみたいと思います。

こんな風に書くと、寄せ書きやサインをもらうのに使う正方形の厚紙が思い浮かぶかもしれませんが、今回書きたいのは「しきし」ではなく「いろがみ」です。

下記の写真のようなカラフルな紙たち。

白い紙も良いですが、色とりどりの紙を見ると何だかワクワクしませんか?なかでも特殊紙と呼ばれるジャンルの風合いのある色紙(以下、「いろがみ」とお読みください)は、視覚でも触覚でも楽しませてくれます。

とはいうものの、切り絵やペーパークラフトでは活躍する反面、印刷物やパッケージでは白い紙よりも見かける場面が少ない…。
ネット上の印刷用紙の選び方の解説ページを見ても、基本は白い紙の話で色紙についてはあまり触れられておらず。
「色紙=キレイ」という意識はあっても、実際に制作物に使おうとするとちょっとハードルが高い状況なのでは…??

よーし、じゃあ色紙の魅力が伝わるような記事を私が作ろう!!そして色紙がもっと使われるようになったらいいな~!というまあまあ壮大な計画を思いついたので実行します。
いざ、色紙プレゼン開始!!

色紙の魅力とは

色紙の魅力を一言で表すと、ずばり高級感だと思います。例えば表紙だけ色紙が使われているパンフレットがあったら、なんとなく豪華に感じませんか?
いったいそれはなぜなのか。色紙から高級感を感じる理由を考察してみました。

・深い色味

一番はやはり、印刷では表現できない深い色味でしょう。
特に濃色は見ていると吸い込まれそうになるほど美しいものも。

個人的には、色紙は紙の繊維までしっかり染まっている分、インキよりも色が紙に馴染んでいる気がします。


・小口までしっかり色がついている

紙の断裁面を小口(こぐち)と言います。要するに、紙の側面ですね。

例えば白い紙に赤を印刷すると小口は白いままですが、赤い紙なら小口までしっかりと赤色になります。

下記の写真はビオトープGA-FS ベリーレッドという紙で作られたショップカードです。

表裏はもちろん、小口までどこをとっても赤色!

もし側面が白かったら、世界観が壊れてしまったかもしれません。

また、厚紙でパッケージを作る場合、紙質によっては折った箇所がひび割れてくることがあります(「罫割れ(けいわれ)」と言います)。

もしも全面黄色で印刷したパッケージに罫割れが起きると、インキがはがれて紙地の白が見えてしまい、何だか見栄えが悪い、ということに…。
黄色い紙を使えば、罫割れが起きても断面が黄色く、高級感を保てます。

一方、白い紙だからこそ映える小口の加工もあります。「小口染め」と言われる、断面を染める加工です。
名刺やカードのほか、本でも時々見かけますね。白い紙に鮮やかな色で小口染めをすると、インパクト抜群のモノができますよ。

書籍・デザインのひきだし⑱は小口が蛍光色


・レア感が出る

見かけることが少ない=レアということ!
つまりは他とは違う、存在感のあるモノづくりができます。

白い紙+印刷で作られたパッケージが並ぶ中に、色紙でできたパッケージが1つあったら目立ちますよね。コストの問題はありますけれど、他社との差別化の手段として有効です。


どんなところに色紙が使われているの?

白い紙よりは少ないというものの、実は様々な場面で使われており、日々の暮らしを彩ってくれている色紙。
名刺やショップカード、洋服のタグ、わかりやすいのはハードカバーの書籍かもしれません。表紙、見返し、扉など、多くの色紙が使われています。

表紙や見返しに色紙が使われることが多い

パッケージの場合は、貼り箱によく使われます。貼り箱とは、厚紙の上にもう1枚紙を貼って作られる箱で、上に貼られる紙に色紙が選ばれることが多いんです。
百貨店で売られているような、比較的高級なお菓子のパッケージでよく見かけます。中には紙自体がブランディングにつながっていると感じる例も。

その1つが、神戸フランツさん。
すみません、当方関西在住なもので、思いきり関西にしかないお店を例にだしてしまいました。ですが、観光客に人気の洋菓子屋さんですし、お土産でもらったことがある方もいらっしゃるはず…!(ネットでも買えます!)

ちょっと話がそれましたが、神戸フランツさんの看板商品「神戸魔法の壷プリン」の貼り箱に使われているのが、タントの赤色。深紅の貼り箱がたくさん置かれた店内は、なかなか壮観です。

もちろん、一般の人はタントという紙名までは知らないと思いますが、それでも「赤くて風合いのある紙を使ったパッケージ=神戸フランツ」が知らず知らずのうちに刷り込まれているんじゃないかな。
白い紙に4色印刷だとあまり紙には意識がいきにくいですが、色紙+シンプルな加工の場合は紙自体の存在感が増すように感じます。

白い紙に印刷 or 色紙

さて、例えば青いDMを作りたいと思ったとして、青い紙を使う以外に、白い紙に青を印刷するという選択肢もありますよね。
先ほど書いた通り、高級感が欲しいときは色紙がおすすめですが、デザインによっては白い紙の方が向いている場合もあります。

そこで、色紙よりも白い紙が使われることが多いケースを、いくつかご紹介します!

・写真やイラストをカラーで表現したいとき

当たり前といえばそうですが、やはり4色印刷で写真やイラストを印刷したいときは、白い紙の方が向いています。

オフセット印刷のインキは透明度が高く、紙の色に影響を受けやすいからです。写真やイラストをデータに近い色で再現したい場合は、白は白でもなるべく真っ白に近い紙を選ぶ方が良いでしょう。

とはいえ、紙色の影響を逆手にとって、色紙やクラフト紙に印刷してみても面白い表現ができますよ。


・色ベタに真っ白の部分を作りたいとき

色ベタの背景に真っ白の部分を作りたい場合も、白い紙に印刷されることが多いです。

白を印刷するときはオペークインキという不透明なインキを使うのですが、どうしても紙地の色を拾ってしまい、真っ白にはなりません。

濃紺の紙にオペークインキで印刷

これはこれで独特の色になって好きですが…!

ただ、紙の色によっては何度も刷って色を重ねなければ白に近づかないので、印刷回数が増える分、コストアップになってしまいます。
また、白の箔押しやシルクスクリーン印刷という方法もありますが、これもちょっとコストアップですね。

一方、白い紙に白くしたい部分だけ何も印刷しなければ、簡単に真っ白の部分が作れます。白い部分=紙の色というわけですね。

白い紙に4色印刷。白い部分は紙の色

だけど、どうしても色紙に真っ白に近い色で印刷したい…!
そんなときは、オフセット印刷ではなくオンデマンド印刷を使うという方法があります。
機種によってはホワイトトナーが搭載されており、オフセット印刷よりもはっきりとした白が表現できますよ。

下記の写真はプライクという紙にホワイトトナーでオンデマンド印刷した例ですが、真っ白に近い色になっていますよね。

ロットが少ない場合は、オンデマンド印刷もぜひ検討してみてください~!


・イメージした通りの色がないとき

色紙は元々色がついた商品ですから、自分で色を変更することはできません。この色と色の間の中間が欲しい…!みたいなケースもしばしば。
やはり、印刷の方が自由度が高く、イメージ通りの色が出しやすいでしょう。

逆に、自分のイメージぴったり一致したカラーの色紙を使うと、印刷よりも色味が深い分、モノとしての強度が増すように思います。

代表的な色紙

世の中には本当にたくさんの色紙が流通していますが、ここでは色数の多い、代表的な銘柄2つをご紹介します。

・NTラシャ

プレーンな色紙の代表格、NTラシャ。
厚みは四六判70㎏、100㎏、130㎏、170㎏、210㎏の5種類で、書籍、パッケージ、封筒などなど多種多様な紙モノに使えます。一番色数の多い100㎏は120色の展開です。

発売は1949年。2023年現在、74歳というわけですね。すごい歴史…!
歴史の長さはそれだけ愛されてきた証でもあります。

ちなみに誰も興味はないと思いますが、私がNTラシャで一番好きな色は「ひまわり」です。

この冴えた黄色が好きなんですよねー。

・タント

先ほど紹介した神戸フランツさんのパッケージに使われているタントは、なんと全200色!!
2019年にリニューアルされていますが、最初の発売年は1987年。私、同い年だ。

タントの色名は変わっていて、「赤」や「黄色」ではなくて、記号と数字でできているんですよ。「N-52」「L-58」といった具合です。

アルファベットにはもちろん意味があって、N=Neutral(ニュートラル・タントの基準となる色)、L=Light(ライト、くもりのない明るい色)といったように、トーンの特徴を表しています。
全部の頭文字の意味は下記リンク先でわかりますので、ご興味ありましたら!

厚みは70㎏、100㎏、130㎏、180㎏で、NTラシャと同じく紙製品、装丁から貼り箱まで、幅広く活躍してくれます。主張しすぎない細やかなエンボスで、ちょっと質感が欲しいなというときに大変便利です。

2021年にはタントシリーズの派生品として、260㎏の厚みがあるタント ボード-Fが発売になりました。
タント ボード-Fなら1枚でパッケージが作れますね!

タント ボード-Fは現在12色ですが、パッケージに使いやすい色を選んでいるとのことで、これから見かける機会がどんどん増えそうです。

さいごに

いかがでしたでしょうか。
なんかもうプレゼンというよりは、色紙について好き放題書き連ねただけのような気もしてきましたが、まあ良しとしましょう!(自分に甘い)

ここまであまりコスト面には触れていませんでしたが、色紙は白い紙よりも高く、予算の都合上使えないといった話もしばしば聞きます。特に濃色になると、色をつけるために使う染料の量も増えますから、ますます高くなってしまうんですよね…。

ですが、高いからと敬遠されて、どんどん廃品になってしまったら悲しいので、これからも良さを普及していきたいなあと思う次第です!

身の回りで色紙が使われている紙モノを発見するのも、小さな幸せを見つけるみたいで、楽しいですよ。

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