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対馬の禅寺で身を清める

調身、調息、調心ー。ご住職が時節のお説教と共に坐禅のスリーステップを解説する。対馬市厳原の高台にある西山寺(せいざんじ)では宿坊客を対象とした坐禅体験を行っている。早朝6時、すでに線香が焚かれてあり、凛とした空気が満ちる。あてがわれた2枚の座布団に座してみたものの、勝手が分からない。ご住職の話に耳を傾ける。

御堂の奥にある坐禅の間

調身とは、体勢を整えること。足を組み、手は右の親指を左で握り、ヘソの下(丹田)辺りに添える。

十月の空を写した西山寺の硝子戸

調息とは、呼吸を整えること。腹で大きく吸い、大きく吐くを十回繰り返す。その後は数える必要はないが腹式呼吸を続ける。

窓から眺める西山寺の庭

調心とは、心を整えること。1.5mほど先の床を見ると半眼になる。半眼とは仏像に見られる目が半分閉じられている状態で、半分で外界を観察して、もう半分で内面を省みる眼差しなのだという。

掃き清められた宿坊の玄関口

ご住職の導きにより、身にも心にも芯が入った。坐禅は二十分。線香に火をつけ燃え尽きるまでの時間。ただ、身を調え、呼吸を調え、心を調える。朝の鐘の音に呼吸を合わせる。金木犀の香りに季節の移ろいを知る。1.5m先の畳の縁を見据え、動くものは何もない。おのずと背筋が伸びて、さざめいていた心が鎮まっていく。

客室の床の間

わずか二十分でまさか悟りを得られるわけもないが、朝から清々しい空気を体に入れ、身も心も浄化された。朝食がことのほか美味しかった。

イカの煮物、サバの塩焼き、白和え…。充実の朝食

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