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すんき#1|ヨーグルティアで自家製すんき(とすんきのうま味の話)

暮らしの発酵通信の取材で長野県木曽地域の無塩漬物〈すんき〉の取材をしてきた。「塩を使わない漬物」ってことで名前は知っていたけれど、作り方が謎だった。教えていただいた内容を元に、自宅で再現。
すんきの取材内容については、2023年3月発刊の「暮らしの発酵通信」までお待ちください!

収穫の様子。商品にならないカブをいただいて、自宅で挑戦!

材料

・開田カブの葉 適量
・完成したすんき(種菌) カブの葉の1/3量 ←道の駅で購入

作り方

1.カブの葉を洗って刻み、60℃に温めたお湯の中に入れる。
 ・葉を温めるだけなので、すぐに取り出す。
 ・実の部分(葉と実の結合部分)も少し入れる。
2.ヨーグルティアの容器にビニール袋を入れ、1と完成したすんきを交互に入れる。
3.完成したすんきに残っていた汁を入れ、40~45℃のお湯をひたひたになるまで入れる。
4.ヨーグルティアを42℃×12時間にセット
5.カブの実のピンク色が出てきて、葉がべっこう色になったら成功。そのまま室温で1日放置する。

42℃×12時間後の様子

6.冷蔵庫で保存する。

※しばらくするとカブの実のピンク色が色あせてきますが、それは気にしなくて結構。これについては別に書きます。

食べ方

現場で教えてもらった食べ方は、すんきに鰹節と醤油をかけて食べる!「味が化けるよ」と言われ、食べてみると…なんだこのうまさは!!
そのまま食べるとほんのりとした酸味・甘味・うま味の(これだけでじゅうぶんおいしい)漬物なんだけれど、鰹節と醤油のコラボの破壊力ね。

すんきのうま味の秘密はコハク酸

取材先で「この本、もう出してないからどうしても欲しいなら譲ってあげるけど?」と言われ、GETしてきた書籍『無縁の漬物 木曽のすんき(木曽すんき研究会著/2014年)によると、すんきにいる乳酸菌(ファーメンタム菌)がコハク酸を作り出しているそう。

少量のコハク酸を乳酸菌が作ることは知られていおりましたが、すんきという乳酸菌単独の発酵食品にコハク酸をこれだけ蓄積させ、うま味成分として機能しているのは大変珍しいと思われます。

『無縁の漬物 木曽のすんき(木曽すんき研究会著/2014年)

ここで調べたすんきの中のコハク酸濃度は0.01~0.4%の範囲。コハク酸は0.1%を超えると苦味やエグ味となるそうで、家庭によってコハク酸濃度は違っていたものの、主に貝類のうま味成分として知られるコハク酸がすんきに含まれているのが不思議。

(すんきの菌の話は別で書きました↓)

すんき×鰹節×醤油。うま味パラダイス

鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸が掛け合わされるとうま味が8倍になり、さらにそこにしいたけのグアニル酸が加わると相乗効果がさらにパワーアップするということはよく知られている。
コハク酸はそれら関係性とは独立しているらしいが、一緒に使うとおいしさが高まる。

つまり、

すんき(コハク酸)×鰹節(イノシン酸)×醤油(その他有機酸)

は、おいしく化けて当たり前。

木曽地方では冬季限定で、すんきそばやすんき汁がお店で提供される。おそばの出汁や味噌汁に入れても味が化けておいしい!!

取材先のすんき名人野口廣子さん(中央)
種菌にもした野口さんのすんき(奥)

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