きりんの詩(うた)　『木の芽吹くころ』

木の芽吹くころ

木の芽吹くころ
なんどでも服を脱ぎ
なんどでも新しい服を着る

木の芽吹くころ
なんどでも靴を脱ぎ
なんどでも新しい靴を履く

なんどでも木の芽吹き
なんどでも新しい木の芽吹き

木の芽伸ぶころ
なんどでも皮を剥ぎ
なんどでも懐かしい皮を捨て

木の芽伸ぶころ
なんどでも殻を剥き
なんどでも懐かしい殻を投げ

なんどでも木の芽伸び
なんどでも新しい木の芽伸び

葉は茂り
なんどでも葉は茂り
なんどでも新しい葉は茂り

なんどでも
服を脱ぎ靴を履き皮を剥ぎ殻を剥き
なんどでも
靴を脱ぎ服を捨て皮を剥き殻を投げ
なんどでも
木の芽吹き木の芽伸び葉は茂り葉は茂り

新しい服を着て
新しい一日は
新しい爪先が
新しく顔をだす
懐かしい一瞬に
動きだす
なんどでも動きだす
なんどでも新しく動きだす

木の芽吹き
木の芽伸び
なんどでも服を脱ぎ
なんどでも新しい服を着る

©️2020 Sato Kilin