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なぜ「育児の愚痴」は多いのか。育休で気がついたこと①

■ 二回目の男性育休で気がついたこと

先日 第二子が誕生し、本当にありがたいことに、育休を取得することができました。しかも人生二回目の育休です。前回は1ヶ月、今回は2ヶ月間お休みをいただいています。

今は長男が1歳8ヶ月、長女が生後0ヶ月。二児を相手に育児に専念してみると、前回の育休期間中では気が付かなかったようなことに気がつくようになりました。

この気持ちを忘れないうちに記録しておこうと思ってnoteを書くことにします。

・育児の愚痴、多くない?

web上のSNSや、会社のランチタイムの話題などで育児の愚痴を言っている人を見かけることは少なくないでしょう。むしろ、愚痴の中でも、育児の愚痴って多くないか?と思う人もいるのではないでしょうか。
仕事なら愚痴を言わないようなポジティブな人でも、育児のことになると愚痴がポロリ…。そんな光景もよく見かけるように思えます。

子供がいなかった頃は、
「育児というのは、それだけダルいものだから」「自慢っぽくならないように、自虐の意味で愚痴を言っている」
というような理由か、はたまた「育児層が愚痴っぽい人が多いのでは」なんてことまで、胸の奥底で少し思っていました。

しかし今回の育休中に自分(愚痴な後ろ向きな思考が嫌いだったはず…!)のTwitterを見返すと、1歳8ヶ月の長男の相手をしている愚痴が並んでいることに気が付きました。

今思うとこの現象は「育児という“変わった性質の仕事“へ立ち向かうためのメソッド」だったのだなあと思います。

■ 育児は変わった性質を持っている仕事

・非論理的で不可避

この育休中、なんでこうしんどいのか、最初は自分でもよくわからなかったのですが、だんだんと言語化できるくらいに理解してきました。
それは育児という仕事が、それまで自分がやってきた仕事と大きく異なった性質であることが原因だと気が付きました。

・① 非論理的

「育児は非論理的」という前に、普段 自分がやってきた仕事はほとんどが論理的なものであるという、ことを改めて理解しました。
A + B = C なら、常に A + B = C 。「ある日会社に来たらプログラミング言語の文法がめちゃめちゃに変わってる」とか「昨日まで推奨されていたルールが今日から処罰の対象になってる」ということはほとんどありません。長い期間で変化していくことはあっても、毎日毎日ルールが何度も変わる、ということは稀でしょう。
幼児というものが非論理的なせいで、育児は毎日何度も無意味にルールが変わります。昨日よろこんでくれた対応が、今日はギャン泣きの原因になったりします。

論理的でないと何が困るかというと「自分の学習・成長が著しく遅くなる」ということです。1+1の答えが毎日変わっていたら、そんな数学は学習することは困難でしょう。
それまで仕事で同じ過ちを繰り返さないよう学習や仕組み化に取り組んできた人ほど、このギャップには戸惑います。
しかし、このギャップに驚いて愚痴を言うというのが「育児の愚痴が多い根本原因」ではありません。

・② 重要ゆえ不可避

そんな非論理的な育児ですが、多くのプロセスがとても重要で、無くすことができません。「数日は食事あげるのやめておくか」という訳にはいきません。例をあげます。
嫌だけど重要で避けられない最たるものは出産でしょう。
自分は男なので妻の出産をとなりで見ていることしかできませんでしたが、出産は最も重要な育児の一つでしょう。めちゃめちゃ痛い、しかも十何時間も続く。無くせるものなら無くしてしてしまいたい。でも避けられない。省略や効率化もできない。育児はこれに似たことが多々あります。

この2つの性質ゆえ、育児が
「学習できず、効率化できない」という特殊な仕事になっています。

・その特殊性への立ち向かい方

普段自分たちがやっている、論理的で困難な仕事への立ち向かい方が
「学習して成長する」「仕組み化・効率化」でしょう。
その2つを封じてくる特殊な仕事、しかも重要なので避けられない。その場合どうやって立ち向かえばよいのでしょうか。
一言でいえば「モチベーションを高め続けて、ひたすらにぶつかり続ける」に尽きるでしょう。
言い換えると「消費していくモチベーションを回復し続ける」のがこの仕事の進め方といえます。

■ モチベーションを回復する3つの方法

① 褒められる
② 共感される
③ 価値を認識する

この手の仕事に対して、消費したモチベーションを回復する方法には3通りの方法があると、妻の出産に立ち会う中で気が付きました。
それは、妻がまさにうめき声を上げながら出産をしている最中、助産師さんが妻にかける声がヒントになりました。

「いきむの上手上手!順調〜!(①褒められる)
痛いよね、痛いよね〜(② 共感される)
でも赤ちゃんも頑張ってるから!もう一息!(③ 価値を認識する)

出産は文字通り 死ぬほどつらい 人生で最も重要な局地、効率化でも仕組み化でも何でも総動員して立ち向かうべきです。でも、この声掛けしかないのです。自然分娩の場合、正しい医療的な処置を施したあとは、この声掛けしか痛みに立ち向かう方法がないのです。逆にいえば、この声掛けは、使えるヒントなのではないか、現代でも最強のメソッドなのではないかと気が付きました。

育児への立ち向かい方は「モチベーションを回復しつづけ、ぶつかり続ける」こと。

モチベーションの回復に効くのが「①褒められる・②共感される・③価値を認識する」こと。

それらの中の②共感を意図的に引き起こす方法こそが、「愚痴をいう」なのです。

Aさん「昨日、一晩中子供が寝なくてさ〜」(でも次の日も、その次の日も同様になりえる)という状況の愚痴を言うことで
「そのつらさ、分かるよ」という共感を呼びます。自分も今まで共感がこんなにも回復薬になるとは知りませんでしたが、職場の先輩ママさんに悩みを相談して「わかる、わかるよ」と言われて涙が出そうになりました。ちょっと強がりました、涙が出ました。

「なぜ育児の愚痴は多いのか」という問いへの回答は「それが、この特殊な仕事へ立ち向かうメソッドだから」ということになります。

他の仕事で効率化を検討するように、共感を求めることでモチベーションを回復し、立ち向かうのです。

■ 育児をする人間はいつでもどこでも、愚痴を言っていいのか

そもそもとして、愚痴は見ていてあまり気持ちのよいものではありません。自分が共感できない愚痴であればなおさらです。

「うちの上司が最悪でさ〜」なんていう愚痴をいつも言っている人がいたら、「ちょっと残念な人だな」と思うでしょう。

「夫婦で協力するのが育児なら、愚痴も夫婦で伝えあっていればいいじゃん」と思うかもしれません。本来はそれが正しいのしょうが、男女で立場が違って辛さの種類が違ったり、夫婦の片方がしんどい時はもう一方も心身ともに限界で、相手を思いやってあげられないのが現場のリアルだったりします。
なので、経験している先輩などに相談したいものの、そんな繋がりがない場合、一縷の望みを込めて、web上の不特定多数に向けて愚痴を投げかけるのです。

しかし先に書いたとおり、共感をできない愚痴は、見ている人のモチベーションを下げるだけです。なので育児の愚痴は、育児にセグメントされた集団に向かって発信するのが一番でしょう。

「だからみんな"育児垢"を作るのか」とやっと理解しました。

自分も育児アカウントを作ったので、育児中の人はフォローしてくださいw

https://twitter.com/satoki_ikuji

■ 最後に、まだ子供がいない方々へ

web上・SNS上には育児の愚痴が溢れています。友人も同僚も、はたまた上司すらも愚痴を言っているので「育児って、しんどいんだな」と思われるでしょう。

しかしそれらのほとんどは、上記した通りの理由によるもので、育児のしんどさは、スポーツでいうと身体に立ち込めてくる乳酸のようなものです。

自分は結婚してから子供をもつまで4年くらいありました。でも子供をもった今、結婚1年目に戻ったら、もっと早く子供が欲しくなると思います。自分にとっては、それほどの幸せでした。

もちろん子供との出会いは縁ですし、それだけが幸せでは全くないですが、SNSの悲鳴を見かけても、自分の家庭を築く想いがあるのであれば、尻込みしてその想いを蔑ろにしないでほしいと思います。

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