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「パパって、ママのニセモノなのかな」への答え。育休で気がついたこと④

ずっと思っていたこと

育休が始まってから最初の数週間、ずっと悩んでいたことがありました。それは「パパ(自分)って、ママのニセモノなのかな」という思い。自分の中では育児に注力すればするほど、その悩みは強くなっていきました。

なんでそんな風に悩んでしまったのか

「父親は母親の偽物」と思う人はあまりいないのではないでしょうか。「それぞれに役割があり、母親と父親とは優劣をつけるような関係ではない」
大抵の人もそう思っているのではないでしょうか。もちろん僕もそう考えてきました。

きっかけは「男性だけれど育休中で働いていない」という負い目と、自分の「"父親"という肩書から逃げたい」という気持ちでした。

育児を学ぼうとすると直面する「パパ(夫)は育児のワルモノ感」

育休なんて取ると張り切って、育児について調べるようになりweb上の育児系の記事をたくさん読むことになります。
育児の悩みは圧倒的にママ目線の記事が多く、パパ目線の記事は「敢えて取り上げたパパ側の目線です!」のようなものしかありません。残念ながら、育児は未だママに頼っている家庭が多いのが現実でしょう。そしてママ目線の育児の悩みの中で大きなシェアを占めているカテゴリが夫婦の問題、つまり夫への不満です。

たしかに「これはひどい!」と思うような内容ばかりなのですが、だんだん自分が「パパであること」が嫌になってくるのですよね。そして思いました。「パパ=育児の邪魔者」なら「育児に向き合ってる自分はママってことにしよう!」

そんな安易な発想が迷宮の第一歩でした。

上手く行っているかのように思えたママ役

「自分はママだ」
そう思って過ごし始めた育休初期はそれなりに順調でした。第二子出産のために妻が入院し、1週間は長男と僕と二人の生活でしたが、困ることはありませんでした。
自分はもともと家事が得意なこと、そして長男出産の際にも育休を頂けていたこともあり育児も一通りこなせます。一緒にご飯を食べ、児童館に通い、一緒に寝る。充実した1週間でした。
「うまく"ママ"できているな」と思っていました。息子が「パパ」と発音できず僕のことも「ママ」と呼ぶこともそれに拍車をかけていたように思えます。

しかし妻の退院から2週間ほど経ち「私も身体が回復してきたので、そろそろご飯作ったり色々できるから協力してやっていこうね」とありがたい言葉を貰った辺りから、歯車が狂い始めました。

妻との違い、ママとの違い

第二子である娘の育児中心だった妻が、息子の育児も協力してくれるようになり、僕はママレベルの違いに打ちのめされてしまいました。

「最近、息子の野菜足りてなかったんじゃない?」
その一言がきっかけになって、僕はパンクしてしまいました。

「ああ、自分が今までやってきたことは、育児の真似事だったんだ。僕は育休中で働いていないからパパでもないし、ママも出来ていない。僕はママのニセモノなんだ」

そう思うようになりました。

父親ってなんだろう

ママは妊娠中の10ヶ月間、そして出産で大変な思いをしながら子供と強い絆を築き、出産後も子供に対して誰よりも安心感を与えられる存在です。

対して、父親とは何なのでしょう。
「働くという、人間の社会的な一面において手本になれる」という考えが自分の中にありました。
しかし僕は育休中で、働いていません。
そして育休が明ければ働くのは妻だって一緒です。

ママにはなれなかった。でもパパって何なんだろう。
今まで自分は心の奥底で「俺っていいパパだぜ」と思っていたのだと思います。それが急に「自分は父親として何一つ責任を果たせていないのではないか(何故なら「父親としての責任」が何かわかっていないから)」と思うようになりました。

そんな泥沼から抜け出すきっかけをくれたのは、先輩ママから推薦してもらった本の一節でした。

子供のためにできることは山程ある

「育児の目的とは、子供を幸せな大人にすることです」
本に書かれていた、明確で遠くにある目標が北極星のように、自分の道を照らしてくれたように思えました。

子供を幸せな大人にする、
そのためにやるべきこと、できることは山のようにたくさんある。

得意なことも、苦手なことも含めて、たくさんたくさんあるけど
一つ言えることは「目前の課題だった『さっき何とか食べさせた人参を吐き出した』とか、そんなことにいちいちクヨクヨしている場合じゃない」ということでした。

ママと一緒のことをして、わずかな違いに一喜一憂している場合じゃない。
web上の、知りもしない他人のパパへの不満に同調している場合じゃない。
なにより「父親とは何か」とか言ってる場合じゃない。
そんなことはどうでもいいから、有限である子共と一緒に過ごせる時間の中で、彼/彼女が幸せな大人になるために、できることしよう
そう考えて子供と過ごしているうちに、最初の不安はすっかり消えていきました。

思っていたより、育児はずっと広い世界

育休の最初、僕の中の育児世界の地図はこうでした。

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ママがやっていることが育児で、パパは如何にしてその中で出来ることを広げていくのか。そんな風に考えていました。

育児を「子供を幸せな大人にすること」だと認識すると、僕の中の地図はこう変わりました。

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子供を幸せな大人にするためにできることは無限に広がっていて、その中で誰が何をするのかは、きっと家庭の数だけ種類があるのでしょう。うちではパパがやっていることが、別の家庭ではママがやっているかもしれませんし、また別の家庭では祖父母だったり、学校の先生だったり、両親に限らず誰かに頼っている部分かもしれません。

「父親ってなんだろう」に対して今の時点の僕の答えは「たまたま子供の近くにいるから、彼/彼女を幸せな大人にするために色々できる可能性が高い人でいいと思っています。

そんな答えが出せた育休期間でした。
おしまい。

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