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佐渡でのワーケーションに参加してきた


これは2023年11月5日~12日のできごとです。

はじめに

旅行してきた。長期の旅は久しぶりだ。
行先は、佐渡。
circleのワーケーション企画に参加してみた。


2024/02/15追記:circleがサービス終了となってしまいました。とても素敵なサービスだと思っていたしこの旅のきっかけにもなったので、とても残念。


仙台に戻って一週間経って今でも、すごい体験だったなぁ、楽しかったなぁ、としみじみ感じている。
佐渡はすごくいい場所だったし、佐渡の人たちはすごかったし、ワーケーションをしたからこそ得られた、一生忘れられない経験をしたと思う。
その思い出を、綴ってみる。
膨大になってしまったので、お時間のある時におつきあいください。これでもかなり端折った。あと、うまいばっかり書いてます。

きっかけ

9月、退職が決まった直後。ふとこの企画が目に入った。「あ、どうせ暇なんだから参加しよう、一人で長旅より楽しそう」と、勢いで申し込んだ。
それと、以前東京でコワーキングスペースめぐりをしていた時知り合ったKさんが佐渡に移住していて、なにかと佐渡の良さを発信していたので佐渡が気になっていた。
また、わたしは以前仙台で5年半コワーキングスペースを運営していたので、コワーキング要素のあるワーケーションに興味があった。

無職でワーケーションって、どうよ、とも思ったが。

佐渡は本当にいいところだった

一週間居て、すっかり佐渡が気に入ってしまった。佐渡、やばい。良すぎる。

佐渡は広い

知らなかったことの筆頭が佐渡は広いということ。東京二十三区より広い。ちなみに仙台市よりも広い。
島なので一日で回れるイメージでいると、すぐにそれが無謀だとわかる。周囲は海、切り立った崖、そしてあの独特の形の真ん中が平野で両側が山だ。山は千メートル級のもある。容易に行き来できないのである。かつては佐渡の中で移動するにも船を使ったそうだ。
今回は北のほうの相川に主に滞在したが、相川、両津、佐和田、宿根木など町ごとに気候も雰囲気も違う。住んでる人の気質も違う。
なんてこった、また来て今度は違うエリアに泊まってみなければ!

クマがいない

車で走っていると、東北のちょっと山のほうの光景と変わらない。
でも、クマがいない!イノシシもカモシカもいない。仙台でも秋田でも、クマが現れたとか襲われたとかニュースが続いている。そこらへんの茂みや、山が近い住宅地など常に警戒しなければならない。キャンプも登山もハイキングも控えてしまうほどだ。
だから、その心配がないだけでもう、佐渡がとても羨ましく思えた。逆に、佐渡の人に常にクマに怯えて暮らしているわたしらの現状を伝えると驚かれた。
もう、アウトドア好きは佐渡に行くべきじゃないだろうか。

トキがそのへんにいる

トキが見たかったけど相川ではなかなか見られなかった。実は、どこでも見つけられるわけではなく、トキがよくいるエリア、天気、時間帯などの違いがある。Kさんに連れて行ってもらって、トキの森公園で間近にトキを見た後、田んぼの中を車で走ってもらうと、いろんなところでトキを見ることができた。見慣れてしまうと、地元の人にとっては「あ、居る」と普通なんだそうだ。
ちんまり座って(?)田んぼの土をほじくっているので遠目には小さい。見慣れないと見つけづらいかもしれない。

田んぼにいたトキ

米がおいしい

炊飯器でごはんも炊いた

佐渡のコシヒカリを何度もいただく機会があって、本当においしかった。宮城の米もうまいけど佐渡のお米もおいしい。そしてトキの保護のため、農薬の量や農法など基準を設けて安全な米としてブランドを確立している。

酒がうまい

佐渡に酒蔵が5つもあるなんて知らなかった!米がうまいので酒もうまいのだろうと思ったら、それ以上に「水が重要」と佐渡の人は言う。佐渡には何か所か良い湧き水があって、その水の性質で蔵ごとの個性が出るのだそうだ。

Kさんと一緒に観光したときに尾畑酒造に連れていってもらった。ここの「学校蔵」というプロジェクトがとっても素敵だ。応援したくて一本買った。

尾畑酒造

魚がうまい

海に囲まれているので漁業は盛んなんだろうなという程度の知識だったけど、実際にお刺身やお寿司をいただくとほんとうにおいしい。
また汽水湖である加茂湖では牡蠣の養殖をやっていて、通常よりも早く育って、うまいそうだ。
米も、お酒も、魚もうまくて牡蠣もうまいなんて。宮城の自慢の産物でもあるのに。(どっちもうまい!ということにしとこう)

佐渡が大好きな人がたくさんいる

とても驚いたことなんですが。
佐渡にずっと住んでいる人、Uターンした人、新規に移住した人、いろんな人に会って、なんかみんな自分たちの住んでいるところの魅力を良く知っていて、歴史とか、特徴とか、いっぱい説明してくれる。
昔はこうだったんだよとか。こんな面白いお店があるよとか。こんな取り組みをしている人がいるよとか。さらに今度自分たちでこういうことを始めるよ、とか。
すごいなぁ。わたし、仙台も秋田も、ちゃんと自分で魅力を説明できるほど好きかというとまったく自信がない。むしろ文句ばっかり言っているような…
自分たちの住む地域を好きでいっぱいアピールできるひとたちが、なんだか眩しい。

そして佐渡にみんな行く

芸能人や著名人がお忍びで来るそうだ。島だし、ファンやマスコミから離れたいんだろうな、と思ったけど、一週間居て「単にいいところだから来るのでは?」と思った。アーティストも良く来てライブやってくれるんだとか。そういえばあの玉置標本さんも何度も行ってるみたいだ。ていうか、少し前にも行ってる!

ワーケーションの体験

さて一週間ワーケーションということで、まったく初対面のひとたちと一緒に過ごすことになった。
circleのスタッフの方1名と、参加者5名。そして滞在したゲストハウスのオーナー。
ちなみにわたしは学生の時、4年間寮だったので共同生活経験者である。

ゲストハウス「自然心遊」唯一無二のユニークな場所!

北沢浮遊選鉱場に近い、京町通りと呼ばれるエリアは昔ながらの造りの家が立ち並ぶ。その一角で中でも外でも音楽を流しバラに囲まれコーヒーの香りが漂いsnow peakのアウトドアグッズに満ちた空間、それが自然心遊だ。

古い家が並ぶ中に突然の賑やかな空間
天井に障子を張ったり、骨董品があったり。
入り口が開いていてふらりと入れる

ここがワーケーションの宿だ。初日、バーベキューをしたときのバーベキューガーデンの設備にまず驚いた。そしてなにもかも設備が揃っていて、あっさりしたゲストハウスに慣れていたのでその充実ぶりに感激した。はっきり言って今わたしが住んでいる部屋よりずっといい。オーナーさんは「必要なものがあったら言ってね!」と気軽に声をかけてくれる。
お陰で自炊も気軽にできたし、洗濯もできた。
寒くなってきた時期だったので、お風呂でしっかり温まれるのが嬉しかった。オーナーさんがバラの花を用意してくれた日は、お風呂に浮かべてバラ風呂も!
遊び心に溢れている。

優雅な気分に!

なんとなくコワーキング

一階の「音楽茶屋」は共有スペースになっていて、近所の人や旅人がふらりとやってくる。
自然心遊は音楽の設備がすごくて、居室にもバーベキューガーデンのところにもそしてもちろん「音楽茶屋」とガーデンにも、大きなスピーカーがどーんとあって、そして各種プレイヤーがあって、いつも音楽が流れている。
オーナーさんがいれてくれるコーヒー(一杯100円以上寄付)を飲みつつ、ワーケーション中もみんなここになんとなく集って、たまに雑談しながらPCに向かっていた。

そこに観光地に行ったメンバーがふらっと戻ってきて
「どうでした~?」
「良かったですよー、こういうところがあって」
「へー」
みたいな会話がある。
コワーキングスペースの会話みたいだなと思った。
みんなで気になるアナログレコードをかけて聴いたりして、音楽の話をするのも楽しかった。

アナログレコードっていいよね

ワーケーションで仕事はできる?

佐渡金山の見学や大野亀へのドライブ、釣りなどいろんなアクティビティがあった。あくまで参加は「行きたい人は一緒に」であり、仕事があったり集中したいときは居室に籠っていることもできたし、一人で出かけるのも自由だ。
わたしはWomen Developers Summit 2023に参加するため、その日はほぼ居室にこもっていた。また、AWSの試験対策のためUdemy受講のため、やはり何度か居室にこもった。
お友達のKさんと観光して外出した日もあった。
その柔軟性がちょうど良くて、これだったら程々に仕事ややりたいことができるな、と思った。
トラブル対応が連日とか、納期が迫った案件が複数とか、そういう状況ではやはりワーケーションは厳しい。というかもったいない。ある程度余裕のある状況の時にワーケーションするのがいいと思った。

勉強もしました:データ分析講座を受講

滞在中、佐渡在住のNさんが観光や移動の際わたしたちをサポートし、おもてなししてくれて大変お世話になった。
NさんはKUROCOという会社に所属し、Uターンして佐渡にも会社の拠点を開設。ワーケーション中、KUROCOのお仕事の一部をちょっと知ることができる「データ分析講座」を受講した。
わたしは「データ分析」って何?という、まったくまっさらな状態だ。
だからこそ、講座で聞いた話がとても新鮮だった。企業を運営していく上で持っているデータを分析して経営に生かしていく、その体験を少しさせていただいた。この視点はこれからの生活・仕事でなにかと役に立ちそうだ。

講座受講の時、拠点のある佐渡のシェアオフィス&コワーキングスペース、SADO PORT LOUNGEを見学することができた。

フェリー乗り場に直結したビルの3階で、利便性が良い上に広くて明るく眺めが良い。テレカン用の小さいブースもある。
解体された古い民家の戸板や窓などを活用して、シェアオフィスのパーティションに使ったり、コワーキングスペースのテーブルに使ったりしている。さりげない活用の仕方が素敵だと思った。

戸を使ったガラステーブル
シェアオフィス。窓のガラスや扉がレトロ
畳でちゃぶ台。海と山、最高の眺め

ワーケーション中のごはん、飲み

ワーケーション中は初日と最終日以外は、基本、食事も各自。でもやっぱり、みんなで食べるごはんはおいしいし、作るのも楽しいし、飲みに行くのも楽しいのでなんとなく集まっていた。
わたしは料理をしないと死ぬぐらい自分でごはんを作るのが好きなので、その機会があったのも嬉しかった。

一日目:BBQ

初日はバーベキュー。お刺身もあり佐渡の魚のおいしさをいきなり実感。お肉はすごい量、そして〆にはごはんと豚汁も。
自然心遊のBBQガーデンの設備、音楽と音響機器、謎の日本酒注ぎ装置などに圧倒された。オーナーさんのDIYがすごい。
その後、一部のメンバーは商店街に飲みにいった。わたしはおなかいっぱいになったので寝た。

このお刺身が最初に出てきてびっくり
山小屋みたいなBBQガーデンで乾杯

二日目:金福

あの大物アーティストの予約を断った逸話で知られる焼き鳥のお店。常に行列ということで行くタイミングが難しい。
平日の開店直後なら多分大丈夫らしい。16:30に連れ立って行った。前日の二次会のお店のマスターも一緒に行ってくれた。
カウンターだけの小さ目のお店。メニューを見て「やっす!!」と驚きの声が出た。しかも焼き鳥が大きい!おいしい!
T0ki Breweryのビールもあったのでそれをいただきながら、心地いい時間を過ごした。
梅シソ焼き鳥の爽やかな酸味が忘れられない。

美味しかった…
燻されて店内が白濁していく。いい匂い。
これが梅シソ!

四日目:カレー

「sato_kawaさんの料理の日をつくりたいですね」とcircleのSさんが提案してくれて、「うーん、じゃ、カレー?」と提案してカレーを作ることになった。買い物は別のメンバーがしてくれて調理もみんなでやった。
カレーなら絶対失敗しないしなんとかなるのでカレーにしたんだけど、どーも野菜が多すぎたのか、とろみがつかなかった。
昔、コワーキングスペースでやったカレーの会を思い出した。

五日目:魚!その1

circleのSさんと参加者のKさんが船酔いと戦いながら釣った魚。ハタと模様のある方がキジハタ。食べたことない。高級料亭にしか出ない超高級魚らしい。
「キジハタは煮つけがうまいんだ」とオーナーさんが言うのでおまかせして、巨大なハタをさばこうとみんなで悪戦苦闘。普段から釣をしているKさんが綺麗なお刺身にしてくれた。
魚のアラもたくさんあったので、あら汁に。
煮つけ、お刺身、あら汁、そして佐渡のコシヒカリ。佐渡の恵みが並んだ食卓、これは絶対来なきゃ味わえない。
なにもかも旨すぎた。

ハタとキジハタ
おいしかった

六日目:魚!その2

魚は一日では食べきれない量だったので、翌日は頭部分をかま焼き、サクにしておいた身を唐揚げに…と思ったが、唐揚げ粉が売ってなかった。急遽てんぷら粉を買って天ぷらにした。
これもおいしかった。ふわっふわの身にうまみがぎっしり。

酒も飲むけどごはんもおいしい

七日目:銀寿司、たこ焼き

佐渡の最後の夜ということで、お寿司に。ゲストハウスからほど近い「銀寿司」。佐渡寿司、と馬刺しを頼んだ。

佐渡寿司
馬刺し!!

「これなんの魚だろう?」わかんないけど、ぜんぶうまかった。馬刺しもトロッとしていておいしかった。

ゲストハウスに戻るとなぜかたこ焼きをやることになっていた。
あれだけ食べたのにたこ焼きも食べられるのか、みんな若いな…と思ったけどわたしもけっこう食べた。

たこ焼き機も、材料もすぐ出てくるすごいゲストハウス

行ったところ

北沢浮遊選鉱場

かつては屋根に覆われていた
50mシックナー
ライトアップ。次々に色が変わる


ラピュタみたいと言われるのも納得。苔むして、まるで古代遺跡だけど、昭和まで実際に使われていた場所だ。50mシックナーという施設が円くて神殿みたいでカッコいい。
期間限定でライトアップされていて、夜に行くと別世界への入り口みたいですっごく綺麗。

佐渡金山

やはり見るべきは佐渡金山。世界遺産に推薦されており、もし決定したら混んでしまうから今がチャンスかも。
道遊の割戸は遠くから見るとサイズ感がわからないけど、近くで見ると「これを江戸時代に人力で…」と息をのむ、巨大な割れた(割った)山だ。

山が割れている
近づくとすごく巨大


ひんやりした坑道に入り、江戸時代の坑道(人形あり)と明治以降の坑道を登ったり下りたりしつつ見学した。入れたのはほんの一部で、深さは東京タワー一つ分、アリの巣のように掘り進められて全長は400kmを超えるというから、すごい。「ここに坑道が埋まってるんだ…」と思うと足元の地面を見る目が違ってくる。

年季の入った人形が動き続ける
人1人しか通れないような狭い穴も無数にある

相川では、鉱山で使われた石臼が石垣に使われているのが、面白い。

真ん中に穴が空いてるのが石臼

大野亀

佐渡の観光地として有名だけど北のはじっこなので遠かった!相川から海岸沿いの道を延々と50㎞近く北上、直線ではなく海岸線をぐねぐねと、崖っぷちを登ったり下りたりする。しかも車がすれ違えないくらい狭い道(トンネルまで!)もある。ここ、自分だったら怖くて運転できなかったな。

これは途中の展望ポイント

大野亀は巨大な岩山が海に突出している。写真だと全然スケールがわからないが現地に行くと、すごい大きさで圧倒された。三方向から風が吹きつけられて、崖からの海の眺めも荒々しく、それでいて海はすごく綺麗。
トビシマカンゾウのオレンジに埋め尽くされる季節がおススメだそうだ。
車で連れていってくれたNさんには本当に感謝!

大きな岩の大野亀

白雲台

データ分析講座を受けた帰りに、ここもNさんに「山を通っていく道があるのでそちらに行ってみましょう」と連れていってもらったところだ。
展望台がある。佐渡島のまんなかの平地部分を見下ろして両側の海が見えて、すごいいい眺めだった。

ここから佐渡を見下ろせる
写ってないけど、両方に海が見える

交流センターではスタッフの方から天然杉の話を聞いた。佐渡の石名というところには巨大な天然杉がたくさんあるのだそうだ。スタッフの方の写真を見せてもらって、また行きたい場所が増えた。
ちなみに通った道は翌週に冬季閉鎖となった。

さいごに

繰り返しになるが、面白かったし楽しかった。
ゲストハウスのオーナーさん、KUROCOのNさんや、お友達のKさんともいろんな話が出来て、日に日に佐渡という場所に対する知識というかイメージが立体的になっていった。(さらに実はワーケーションの前にも一日別の場所に宿泊して、それもなかなか濃厚な出会いのある体験だった)
これは一週間いないとわからないし、いろんな人と話したからこそより多くのことを知れたのだと思う。
佐渡は歴史的にも全国各地からの移住者が多くいろんな人がいるためか、オープンな人が多いと感じた。
そういえばかつて読んだ、生き心地の良い町の条件に合致しているかもしれない。

そしてワーケーションの体験も良かった。
正直、自分みたいな無職中年参加していいのかなと思ったけど。少なくともわたしは、幅広い世代の人たちと交流できてとても良かった。一緒に滞在した人たちはみんな良い人だったし。

「sato_kawaさん、夕日を見にいきませんか」と声をかけてもらって、外に行って日が日本海に沈むのをじーっと、見た。
そしてふと思った。「夕日を見ましょう」って声をかけられて誰かと一緒に夕日が沈んでいくのを見るなんて体験、これまであったっけ?

沈んでいく…

夕日も、海も、棚田も、相川の坂に敷き詰められた何本もの階段も、山も、歴史的建造物も、美しいものをたくさん見た。
こんなに美しい世界があるのに、日々に追われて生活して、これでいいのかなぁ。…と、ちょっと人生を考えた。

佐渡へ行く前には「一生に一度くらいは行っておこう」という気持ちでいたけど、もう、また行きたくなっている。
t0ki Breweryにも行かなければ。
Kさんに教えてもらった海鮮丼の長浜荘にも行きたい。
今度はアウトドア体験をたくさんしたい。石名の天然杉も見たい。次回は暖かい季節に、テントを背負って行こうかな。

貴重な体験のチャンスを作ってくれたcircleさん、ありがとうございました。

追記

こちら、circle 公式のブログです!

佐渡の後、新潟に二泊した記事です。


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