見出し画像

宣材写真撮影を撮った時のこと(実例)

先日、「宣材写真を撮る時のこと」というnoteを書いた。今回はその実例を書いてみようと思う。ちなみに書き出してる現在、お客さんに書いていいかの許可はまだもらっていない。書き損にならなきゃいいな、どきどき。

4月中旬頃、以下のような問い合わせを頂いた。

「宣材写真を撮って頂けませんか?プロの演奏家なのに写真が苦手で。HPで料金は拝見済みなので、ご検討お願いします」

まれに「料金を説明すると返信がこなくなる」という事態が起こるので、この「料金は拝見済み」という一文に容易く「あ、この人好き」となる。

「はいはい撮ります撮ります撮ります‼︎‼︎」と湧き立つ心を落ち着かせ、受ける旨を伝えた上で「楽器の種類と撮り方や撮影日に希望があるか」を聞いてみると、素早く以下のような返答がきた。

・楽器はホルン
・撮影日は5月中旬希望
・「室内で柔らかく温かい雰囲気」「室内でビビッドなかっこいい雰囲気」か悩んでいる

撮り方の悩みに関しては補足として
「普段は可愛らしい雰囲気だけど、演奏する時は男前になると言われる。どうすれば写真で自分を素敵に見せれるか迷っている」
とあり、参考資料としてご自分のHPが添付されていた。

まだ少ないやり取りの中ではあったが、料金について把握済みと言ってくれたり、聞く前にHPのリンクを送ってくれたり、そもそも返信が早く、迷ってることに対する言語化も的確なことから、この時点で男前と言われるのが納得できるような気がした。

この私が感じた「男前」を第三者にも分かるような写真を…と心に秘めながら、撮り方を考える時間をもらう。HPやSNS、YouTubeなどを拝見し、考える途中で写真のメインの使い道や、「こう思われたくない」はあるかなど、追加でいくつか質問をして、撮り方を3つ提案することにした。

以下がその提案である。(ほぼ原文のまま、実際は写真のサンプルも添付済み)

『お待たせしました!

いくつかプランを考えてみました。また、それぞれにサンプルを添付しますので、ご確認と検討を頂ければと思います。

①スタジオでの撮影
はるまめさんが最初に仰ってた「室内の柔らかい光で」という希望に沿った形です。例えば着替えて2パターン撮ることもできますし、ストロボを使えば「パキッとビビッド」な写真も撮れると思います。何より、室内は雨でも安心です。スタジオレンタルの予算感としては1万前後くらいです。

②屋上での撮影
HPのトップの写真(芝生に座って笑ってる写真)がとても素敵で、「この解放的な雰囲気はそのままに、演奏する時は男前な感じを出せないかな」と思っての発想です。パンツスタイルであぐらを組んでもらい、ホルンを抱いてるビジュアルとか最高じゃないかなー、と思ってます。演奏中の写真でもカッコよく仕上がりそう。スタジオを借りるのと同じくらいか、少し安めのお値段で借りれると思います。ちなみに、最初に思いついた撮り方はこちらです。

③海での撮影
あまりパターンは撮れないと思うのですが、ご希望の雰囲気や男前な感じを汲み取った上で、使い勝手がいい写真に仕上がるかなぁ、と。背景がとにかくシンプルになるので。葛西臨海公園にすれば、緑の中での写真も撮れるかな、と。

「感じがいい」「この人の演奏を聞いてみたい」のご希望に加えて、私がHPやYouTubeを見て感じた「温かさ」と「親しみ」も取り入れた提案となります。

スタジオか屋上を選んだ場合、場所の提案もさせて頂きますのでご安心下さい。また、ご希望に沿わない場合でもお気軽に仰って下さいませ!』

以上だ。

お客さんによっては「これしかない」という提案になることもあるが、基本的にはこのように複数、なるべく3つ提案することにしている。その上で気をつけているのは

・当初のお客さんの希望を却下しないこと(この場合は①の室内)
・私の1番のお勧めを伝えること(この場合は②の屋上)
・そのどちらでもない視点を作ること(③の海)

の3点だ。そして、「絶対に自分で選んでもらう」ことにしている。宣材写真を撮る人は自己プロデュース力が必要なのだから、最終決定は自分でするべきだと勝手に思っている。提案はするけど決定はしない、というスタンスだ。

このお客さんはすんなりと②を選んでくれて、その後もスムーズに屋上選びと撮影日の選定に話が進んだ。

本来であればすぐ屋上の予約に進むのだが、「これは絶対晴れてた方がいい、晴れてるべき」という私の希望を汲んで頂き、撮影予定日が天気予報で晴れ確定になるまで予約を待ってもらい、無事晴れ予報が出た3日前に屋上の予約をしてもらった。

晴れてさえいればスムーズに撮れそうだったので、衣装は2着あってもいい旨を伝え(あぐらをかく為に1つは必ずパンツスタイルにしてもらう)、当日の待ち合わせをする。

当日目の前に現れたお客さんは、スマホやパソコンの画面で見るより遥かにカッコ良く、「勝戦さにしかならんだろこんなん」と思いながら撮影を始めた。

まずは「これや、これを撮りたかったんや」の1枚。


撮りたかったものが撮れたら一度モニターを見せて、イメージとかけ離れてないか確認してもらう。この確認作業は毎回「これでダメなら帰るわ」という自信と「はわわ、何か言われたらどうしよう、はわわ」の不安に挟まれて死にそうになる。

このお客さんは「いいじゃないですか!」と男前な反応をしてくれた。安心したら、バリエーション作り。「こういうのもあると便利かもしれない」というのを提案しながら撮っていく。


20分程度撮ったら、再度モニターを見せて「他に撮っておきたいものはないか」の確認をする。その際、自分が好きな写真は強めに見せておく。ただの承認欲求である。

OKをもらったら、着替えてもらい2着目の撮影。撮影場所は同じだが、雰囲気は変えたいので同じポーズは取らせない。服の雰囲気的にも、当初仰っていた「柔らかく温かなイメージ」に寄せれそうなので、それを優先して撮っていく。

ちなみに、宣材写真では少し引きで撮ることにしている。使い道によってはトリミングされることがあるからだ。

これもある程度撮ったらモニターで確認してもらい、やり切った感を共有できれば撮影は終了になる。

仕上げには1週間頂戴し、何枚か現像して「いいなぁ」とデレた次の日に「いやこの色じゃない気がする」を繰り返す。書いたことはないが、ラブレターのようなものだと思う。深夜に仕上げた勢いで納品することはほぼない。日中の冷静な精神で何度見返しても「良い!」となったら初めて納品する。従って、当日納品はほぼやらない。

どれだけモニターを見せて確認してもらっても、納品する時は「クレームになったら死のう」と思っている。

このお客さんはとても喜んで下さり、早速SNSに使ってくれた。アイコンにも使ってくれたから、あの日撮った写真と毎日のように目が合うのだ。いい仕事だと思う。

撮らせてくれたお客さんはこちら!
「ホルン奏者はるまめさん」

HP↓

X↓

ありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?