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虎に翼 第26週の2。あなたは、私。

あー、終わってしまった。でも心配していたほど「虎の翼ロス」じゃない。
登場人物たちの多くが、退場してはイマジナリーとして現れるのを目にしていたからかも。最終回ではとうとう寅子まで、イマジナリーとして元気にラジオ体操してましたもんね。物語は終わったけど、誰ひとり消えずにまだ私の後ろにいてくれていて、振り返ったら目が合いそうな気がする。だとしたら、さみしくない。

さみしくないまま、あまりまとまらないけど、最終週の感想を。

美佐江と美雪

その微笑みで視聴者を恐怖に陥れた美しい女子高生・美佐江。大学生となって、これからも周囲を操って過激なことをするのだろうと予想していたから、早くに亡くなっていた結末は意外でした。それも、自分は特別ではないという失意の中で。

もし美佐江が男なら、東京で押し潰されずになんとかプライドを保ち、新潟に戻って議員(それも悪どい方の)とかになったのかもしれない。でも東京で彼女を待っていたのは、自分は特別ではなく、搾取される「女」なんだと思い知らされる日々だった。

でも、美佐江が娘の美雪に「愛してあげられなくてごめんね」なんて手帳を残したのは、やっぱり「娘の特別になりたい」「愛されていないという傷を残したい」という、とても身勝手な行為だと思うんですよ。そしてそれをそのまま美雪に見せちゃう祖母=美佐江の母が、いちばん問題ある人な気がしてしょうがない。考えすぎなのでしょうか。そしてたぶんもっと悪かったのは、美佐江の父なんだろうなあ。

ともかく、そういういろいろな家族の縛りから美雪が解き放たれてよかった。そして数年後、不当解雇で苦しむ彼女を助けるのが、法律と優未(と娘に教えた寅子)でよかった。法の力を使って、きっと彼女はもっと強くなれる。誰かの特別じゃなくて、自分が自分の特別になれたら、それでいいんじゃないかな。

米津玄師さんの、主題歌作成力のすばらしさよ。

最終週直前に放送された「虎に翼×米津玄師 スペシャル」、見ました?すっばらしい内容でしたね!

竹もとでの女子部座談会では彼女たちの笑顔を見てるだけで幸せになりました。役者さんだからあたりまえかもしれないですが、普段のみなさんって役柄とは全然違いますよね。仏頂面のよねさんばかり見てたから、土居志央梨さんが顔をくしゃくしゃにして笑ってる姿を見られてうれしいー。彼女たちが紹介したドラマの名場面集も、お互いのいいところが出るようにちゃんと考えて選んでいる感じで、よかったなあ。

米津玄師さんと伊藤沙莉さんの日比谷公園セットでの対談もよかった。半年間毎朝聴き続けて全然飽きなかった「さよーならまたいつか!」はほんとに名曲。聴くたびに心の底で何かがふつふつと沸騰します。そして番組内で初披露されたフルバージョン、団子を食べまくる桂場とか「ふーひゃひゃ」と笑う多岐川さんとかで笑いながら号泣しました。
台本を読んだだけでできてしまう米津玄師さんの「主題歌を作る力」のすばらしさ、あれはなんなんでしょうね。
米津さんは物語の海に深く深く潜り込む、潜水士のよう。奥底に沈んでいた「本質」をぐっとつかんで水面に浮かび上がり、それを美しい歌の形にして私たちに示してくれる。そしてその歌によって、逆に物語も深みを増す。最終回、「さよーならまたいつか!」と歌って去っていく寅子、なんてすてきなエンディングだったんでしょうか。

ナレーションをしていたあなたは、誰?

臨場感たっぷりに語る尾野真千子さんのナレーション。最終週に尾野さんがなんらかの役で登場するのかと思っていたけど、ありませんでしたね。
時には寅子の気持ちにシンクロし、時には見ている私たちの気持ちにシンクロし…そんな語りをしていた「あなた」はいったい、誰だったのでしょう?

もちろんただの語りとしてもいいんだけど…「今の私」と考えるとしっくりくるかなあ。100年後の「私」がトラちゃんー?とオロオロしたり、寅子のようにひどい目に遭ってむかついて叫んだりしている。あなたは、私。


ここまで2千字近く書いてまだ書きたいことがあるので…第26週その3が続きます。しつこくてすみません、時間かかるかもしれませんが、よかったらまた読みにきてくださいね。

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さとひ(渡辺裕子)
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