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虎に翼 第11週

寅子は、良くも悪くも「長女」っぽいなーと思う。兄はいたけれど、まあ、あんな人だったから…。忙しい親から頼りにされ、「お姉ちゃんなんだからしっかりしなくちゃ」と自分に言い聞かせて育ち、勉強もできるから成功体験を積み重ねて自信を持ち、「私ひとりでなんとかする、やればなんとかできる!」と思い込んで、他の人に相談するタイミングを逃す。

あの時、よねさんに「もう女性弁護士が私しかいない」という自分の不安を打ち明けていたら。妊娠したけれど仕事をしたいのだと相談できていたら。
自分1人で「既婚者なら仕事が来るかも」「自分だけで仕事をすべて引き受けなくては」と突っ走って抱え込みすぎて、よねさんとちゃんと話し合いができないまま、深くなった亀裂がもう埋まらない。

よねさんはよねさんで、理想は高いけれどいまだなんの資格もなく、どこにいっても、「助手」という立場になってしまう。自分と違って資格があるのにちゃんと仕事をしていないように見える寅子へのいらだちと、何も成し遂げてない自分へのいらだちが混ざってるなあ。

お互いに大好きなくせに。…ヒャンちゃんも。

ヒャンちゃんに「香子」と名乗らせている自分が、恥ずかしくてくやしいよ。いや、もちろん私はドラマの中にはいないんだけど、でも今もいるたくさんのヒャンちゃんに、私が、ひどいことをしているような気がする。


戦争が終わって懐かしい人たちと再会していく中、もう会えない人もいる。

法律を守って死んでいった花岡、外からは聖人のように見えても、食事をしてくれないのを見守るしかなかった家族にとっては、心配で腹立たしい存在でもあっただろうなあ。寅子からのチョコレートで久しぶりに子どもたちに笑顔が、と妻の奈津子さんから感謝されるくらいのしんどい日々。子どもたちも、被害者だ。

そして奈津子さんが、花岡の死後は絵を描いてお金を得るような、強い生命力の人でよかった。花岡にとってただの条件にあう結婚相手とかではなく、ちゃんと彼女を愛していたんだろうなあ。
そんな奈津子さんに「気がつかなくてごめんなさい」みたいに謝っちゃう寅子、やっぱり「私ならなにかできる・できないといけない」という、よく言えば自己肯定感が高く、悪く言えば傲慢な性格。そこをもうちょっとほぐして、素直に弱音をはいたり、助けを求めたりできたら、よねさんと仲直りできるのでは。


家庭裁判所に掲げられた、奈津子さんの絵は、大人から子どもへ手渡されるチョコレート。それはつまり多岐川さんの言う「愛」だ。

この週に再会できたもうひとりの懐かしい仲間、轟。彼とよねさんがバディとなり(この時をずっと待ってた!)、彼らもたくさんの愛を手渡す仕事をしていくんだろうな。がんばれ。

そして、轟が日本へ帰ってくるための灯のような存在だった花岡。轟を無事に戻してくれてありがとう。

ぴんぴんぴんぴんぴん


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