見出し画像

スマホ落としの、4つのトゲ。

「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」
ムビチケも買っていたので、初日に、横浜の桜木町駅前にある映画館・ブルク13で観ました。ほぼ満席の客席、高校生くらいの、グループで来てる人たちが多めかな?という客層。そうだよね、コーラとポップコーン持ち込んで食べて、終わってから思い出しておしゃべりするのがまた楽しいよね、って映画でした。私はひとりで行ったから誰とも感想言い合えない、これはなんかつらいぞ!と思ったので、noteに書きます。だから、完全にネタバレです。観てから読んでくださいね。






---

前半のいろいろなできごとが、後半にあれって実はこうでした…とひっくり返っていく構成、おもしろかった。「黒いパーカーで深くフードを被った人物」が、2人だったなんて。まさかの加賀谷くん。そしてサイバーな悪いことしてるのが、警察の人たちで、お互い表沙汰にせずにもみ消し合うというのもおもしろい。自らのやりたいことのために法を破っちゃう、君たちがいちばんの悪じゃん…でもまあ、いいか!っていう。兵頭さんと加賀谷くん、この2人のタッグというのも、続編あったらきっとありですよね。井浦新さん、かっこよかったー!
それからやっぱり加賀谷と浦野が絡むと抜群におもしろくて、2人が対峙するシーンになるとピリッと画面が引き締まる。キリキリに引っ張られた糸のよう、お互いが糸の端を掴んで手加減せずに引っ張っているのを見てる、そんな気分になった。
で、その緊張感で止まってた息を、ずんの飯尾さんが扮する三宅さんがキュートに笑わせてくれるからふふっとはき出せる。彼が黒幕だったらどうしよう、誰も信じられなくなる…と心配してたら無事に最後までいい人なままで、よかった。それにしても神奈川県警、ダメすぎるな! 横浜市民として情けない! 凶悪犯を大さん橋まで行かせちゃうなんてー。
あ、映画の舞台がそんな風に横浜だったので、映画館の目の前の広場でのシーンの時は「今ここを出たら加賀谷さんいるのではっ?」と思って椅子の上でそわそわしちゃった。撮影地近くの映画館で観るの、楽しいですね。
加賀谷くんは美乃里さんを、自分がいた会社に紹介して入社させたんですよね。社長の自分への気持ちを知ってて、彼女を働かせてるのか、加賀谷くんひどいー、とちょっと思いました。それは社長も逆ギレするわー。
浦野の髪が白くなってるの、うまく効いてる。スマホ1ではまず長髪を見せておいて、登場時は大人しめな髪型。その見た目からうっかり「普通の人」だと信じてしまう。今回、再登場時はエキセントリックな白髪、逃亡してからはまた黒髪の「普通の人」に。そして(たぶん)逃げうせる。髪の変化に目がいって、本人の顔に目が向かない。成田凌さんはとても美しい顔の俳優さんなのに、ハンサムオーラを出し入れ自由なので、黒髪にしてなおかつオーラを消すと雑踏にとけこみ「どこにでもいる人」みたいになってしまう。あの演技、すばらしい。最後はあれ、どうなっちゃうんでしょうね。もうひとり誰かがいるわけよね。
こんな感じで、とにかく、あそこのあれはさーって言いたくなる映画なので、きっとネタバレもすぐに出回るから、さっさとみんな観たらいいと思うの。

---
で。ここからは、私に刺さった4つのトゲの話です。映画の評価につながるような大きなことではない。でも、私が日頃気にしている弱点に、ピンポイントで刺さり、どうにも気になってしまった。映画の話ではなくて、私の、たいへんに個人的な話になると思います。映画を純粋に楽しんだ人には、水を差すような話かもしれないので、そういうのは読みたくない場合はここで閉じていただければ。



いいですか? じゃ、書きます。

序盤。美乃里さんの友だちが、薄い本片手に「こっちなんじゃないの?」って言うシーン。
誰かの性的指向について、冗談として噂しあうって、なんかイヤだなと思っちゃった。でもあのお友だちは、イヤな人として描かれたわけではないんですよね…。
終盤への伏線のつもりだったのかなあとも思うけど…あれはなくてもいいのでは…。

新婦が「次はおふたりですね」と笑いかける。会社で徹夜したという社長に美乃里さんは「結婚しないんですか?」と聞く。
なんだろう、この、「みんな結婚して当たり前感」と、そのあとのコーヒーをいれてる社長に「私、やります」って言う流れとかが、うーん、ってなっちゃった。強制ではなく自主的ですよ、彼女が自分でやるって言ったんですよ、という「お茶汲み」。

かつて虐待された親、思い出すとトラウマで震えるような相手に会いに行こうって、そんなことしなくていいじゃないか。「絶対後悔するよ」って言葉は、呪いに近いんじゃないかなあ。あの病院に入れて、たぶん彼がお金を払い続けてるだけで、じゅうぶんじゃないかと思う。決めるのは彼だ。

襲われるシーン。白石さん、体当たりで演じてて、すごくがんばってた。
でも、あんなに執拗に、長い時間、脚や胸元、映さないといけないのかなあ。きれいだけど。

以上です。
こうして書いてみると、私の弱点は「結婚」「女の役割」「恋愛の指向」「親との関わり方」なことが、自分でよくわかりました。映画の本筋にはほとんど関係ないところだし、役者さんたちにはなんの問題もない。ただ、私がいつも気にしている弱点に刺さった、それだけです。こうして書くことで、そのトゲを抜きたかった。そしてもしかしたら、ぼんやりと刺さったトゲの存在に気が付いて居心地が悪い人たちの、そのトゲも抜けたらな、って。

---

それにしてもラスト近くの若い加賀谷くんの笑顔、最高じゃないですか? 私もスマホ、落としたい。


サポートしていただいたら即映画見ます