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レジリエンス

レジリエンスという言葉、気になっています。

「サステナビリティ」との関連性で語られていたり、「リスク」との関連性で語られていたり、また自然災害や今回のようなことが起きた際には『これからはレジリエントな社会づくりが大事』と語る識者もいたり。

以前から使われている言葉かと思いますが、「レジリエンス」とはいったい何なのか、今だに分かったようで分からない感じでもあります。

ということで、題名もそもものズバリ「Resilience , Why Things Bounce Back :レジリエンス(復活力)」を読んでみました。

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現代では災害や大混乱を避けるのは難しいという認識のもと、「破綻するシステムと回復するシステムが存在するのはなぜか」という問いのなかで、豊富な事例で検証されています。

また、レジリエンスという用語は変化に直面した際の継続性と回復という側面で、土木工学や生態学、心理学、ビジネス等々様々な分野で使われいるようです。

そして、考えさせられるのは、「回復」、「復活」というと、どうしても元の状態にもどることをイメージしがちですが、必ずしも元通りになることではないと語っている事。

「最後に、おそらくもっとも直感に反することだと思うが、レジリエンスは必ずしも元の状態への「回復」を意味するわけではない」(p19)
「なかには周囲の環境の破壊や激変を経験しても、きっちりベースラインまで回復するレジリエントなシステムもあるが、必ずしもそうである必要はない」(p19)

「回復」、「復活」は、国語辞書的には「元の通りになること」「よみがえること」「いったん廃止したものなどを再びもとの状態に戻すこと」。

実際には、過去の状態に文字通りの「回復」、「復活」させていく努力も必要かもしれませんが、その観点に縛られることなく、目的達成のための仕組み、行動を変えていくということも現実的かと思いました。

「純粋な意味においては、レジリエントなシステムには戻るべきベースラインが存在しないこともめずらしくない。絶えず変化する環境にあわせて流動的に自らの姿をかえつつ、目的を達成するのである」(p19)

以前、とある雑誌編集者の方とお話させて頂いたときに、「レジリエンスとは軍事用語でもある。一つの部隊の半数に被害があっても、残り半数で行軍を進め目的を達成する。そのような意味合いもある。」と話題に上がったことも思い出しました。

確かに理想は元通りになることかもしれません。しかし、現実は、必ずしも「元通り」にならない(なりなくてもなれない)ことが多いかもしれず、その状態をベースラインとしたときに目的が達成できるようにやりくりしていくことが「レジリエンス」と現時点では理解しています。

しかし、無理に元通りにしていくことが出来ないのではあれば、環境に合わせそのベースラインの状況で何ができるのかを追求し、新しい仕組みを作っていくことがいいのかも。

この観点でみれば、「社会の持続可能性」という「サステナビリティ」を考えていくにあたり、どのような「社会」を持続させていくのか、SDGsの目標値もありますが「レジリエンス」という要素を織り込んで何が言えるのか。あるいは、「持続可能性」という考え自体がこの状況下でどのように位置付けられるのか、もう少し考えてみたいと思いました。


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