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偽金造り

パソコンで詩を書く詩人がいるとしたら
それは偽物の王で、偽善オリンピックの
金メダリストだ(もちろん、その金も偽のメッキである)
ところがやっかいなことに
僕がそうであった
かつてパソコンで詩や
タブレットで短歌をむやみに書き
文字通り書き捨ててしまった
つまりは削除してしまった
やっぱり頼りになるのは手の感覚と
視覚の微妙である
紙だと火中することになるが
削除すらが美しい
詩が最も美しいのは火中の時だ
インチキ詩人は燃やすために詩を書いた
果てはパソコンで削除した
我こそはインチキ金メダリスト
偽金の偽オリンピックの
偽の政治の偽メダリスト
だがこうまで偽ばかりでは
本物になってしまうので
恐竜が鳥になったように
パソコンが詩人を生まないとは限らない
ところが平板平面たるAIは
人間的とは云えないな
AIに魂が宿るとすれば
文字通りのことしかない
人間の魂が
ロボットに憑依する
そんな紛い物じみた芸術に
人々が酔いしれる
偽物の時代である

火中する思想は燃ゆる美しく触れる星々煙に揺らぐ

令和五年十一月十四日

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