小さなお店だってブランディングしたい【2】 / デザイナーの必要性

お久しぶりです。
佐藤澄直(さとうすなお)です。

この記事は連載「小さなお店だってブランディングしたい」の第二回です。
小規模のお店やブランドに向けて、デザインやブランディングについてお話しています。

今回はデザインの必要性についてお話。
さっそく見ていきましょう〜。

デザインって何するの?

まず「デザイン」という言葉について
整理していきます。

よく耳にする言葉ではありますが、
なんとなく想像できるからこそ曖昧なイメージのままになっている方も多いと思います。
さまざまな解釈がありますが、
この記事ではデザインには主に2つの役割があると考えています。

1.デザインとは「伝える力」

UNIQLOのロゴのデザインで知られる
デザイナーの佐藤可士和さんは、
デザインを「コミュニケーションの治療」と喩えています。
この比喩はすごく的を射ていて、
デザインが伝える力を持つことを分かりやすく表しています。

皆さんが日常でよく目にするものに
ロゴやポスター、WEBサイト、バナーなどがあると思います。

これらはすべて「相手に伝える」ことを目的としています。
例えばセールチラシは下記の情報がよく載っています。

・どんな商品
・値段
・セールの期限や場所

こういった情報はそのまま並べると
見た人は何が重要かすぐに分かりません。

情報の優先度をつけ整理して、
見た人に何を伝えたいかを明確にする必要があります。

そこでデザインの出番です。

医者が人の身体の問題点を見つけて
治療して治していくように、

デザイナーはデザインの力を活用し、
どうやったら情報が伝わりやすくなるのかを考えて
コミュニケーション(相手への伝達)を
改善していくのが仕事
です。

よくデザインとしてイメージされる
装飾、配色がありますが、
これらは情報を分かりやすくするための一要素でしかありません。

2.デザインとは「問題解決」

先程、
デザインとは「伝える力」であるとお話しましたが

実は
分かりやすく伝えることは
デザインの本当の目的ではありません。


デザインは、
単に情報を整理したり
見た目を整えるだけではなく

人々の悩みであったり、
社会的な問題(貧困や環境問題)などを
見つけて解決することが目的
です。

伝えることは手段でしかなく、その先の未来をどうしたいのかを考えることがデザインといえます。本質は何かを考え、何のためにこの取り組みをしているのか問い続けることが大切です。

例えばクライアントからバナーの制作を依頼された際に、言われた通りにバナーを作って仕事を終えるのではなく、「そもそも何のためにバナーが要るのか。バナーでなくても別の手段の方が問題を解決できるのではないか」と考えられることがデザイン力です。
このようにデザイナーの仕事は今していることが次に何に繋がっているかを考えて行動することだと言えます。

ブランディングにはデザインが必要

前回の記事で
ブランディングは
「良いものを作る」と「正しく伝える」
2つの軸になっていて
どちらかが欠けていると上手く機能しないとお話しました。

経営者や店長、個人の方が
いくら素晴らしいブランドのコンセプトを考えたり商品を生み出しても
それを消費者に「正しく伝える」ことができなければ
気づいてもらえず買ってもらえません。

そのために、
「伝える」と「問題解決」のプロであるデザイナーの力を借りるのが
ブランディングにおいて重要という訳です。

費用ではなく「投資」

さっそくデザイナーに依頼しようと思って調べてみると、
こんなふうに感じると思います。

「えー、ロゴひとつで数万円!?
デザイナーに依頼すると高いな…」

これ気持ちはすごく分かります。
しかし実際には、ロゴひとつで数十万円以上の価格で受けているデザイナーの方もいます。
価格の付け方は人それぞれですが、
そのデザイナーは「正当な価格」だと思い設定したのだと思います。

デザインを依頼する際に
意識してほしいポイントとして
デザインにかかるお金を「費用」ではなく「投資」と捉えるということです。

「費用」とは、消えてしまうお金です。
例えば広告。
目新しい広告を打つことで、
話題となりその一瞬だけお客さんが増えます。
しかしお客さんは飽きてしまい離れていくことが多いです。

反対にブランディングでは、
かかるお金を「投資」と考えます。

ブランディングは早い段階で
コツコツと取り組むほど後になって
価値あるブランドとなります。

そして多くのファンができて
他の人にも広めたいと消費者が自ら思ってくれます。
これは消費者にとって広告よりも信頼できる指標になります。

クリエイティブの正しい価値


最近では、
アウトソーシングサービスを利用したりして
簡単にデザイナーに依頼することが出来ます。

デザインの仕事も
多くの人が参入してきているため
競争が激しく、価格競争になりやすいです。
中にはこんな案件を見つけました。

・3つのロゴ提案で1万円以下
・修正回数無制限など

しかし
単価が安ければ安いほど、
デザイナーが時間をかけて考えたり手を動かすことは難しいです。

丸や四角といった
簡単な図形を使ったロゴや
文字だけのポスターなどは、
「すぐ出来そう」
「自分でも思いつきそうだ」
と感じてしまうと思います。

しかし
実際のアウトプット(デザイン)の裏では
競合や事例をリサーチする時間がかかっていたり、
余白や大きさの微調整など
地味だが時間のかかる作業をしていたりします。
これらはデザインの完成度を高めるために重要なことです。

また、クリエイティブの価値というのは
単純に作業にかかる時間だけではありません。
ターゲットに合わせて適切な書体や配色を選ぶことのできる知識や
印刷、WEBに関する幅広い知識などを習得するのにそれまでその人がかけてきた時間も考える必要があります。

目に見えない部分ですが、
こういうものがあってこそのアウトプットだと思うと
デザインの価格にも納得がいきませんか。

デザイナーに依頼するときは
価格か安いからと決めるのではなく
そのデザイナーの考え方や価値観
自分のお店と合っているかどうかも考えると良いと思います。

デザイナーとの二人三脚

先程の低価格の案件の話にもつながりますが
まだまだ日本では欧米よりクリエイティブの価値が
低く見られておりデザイナーの給料も低いのが現状だそうです。

クリエイティブの価値が正しく認識され、
デザイナーがしっかりと考える時間ができることで
より良い「伝達」と「問題解決」が生まれると思います。

小さなお店こそ
デザイナーを味方につけて
持ちつ持たれつつ協力し合いながら
お店の価値をじっくりと高めていけば
ブランディングは良い結果になると思います。

次回 : 小さなお店こそブランディングをすべきなのはなぜか

ここまでご覧いただきありがとうございました。

次回は、 小さなお店が ブランディングをするメリットについてお話します。

ブランディングが商売にとって重要であることはお話しましたが
大企業ではなく小さなお店だからこそ ブランディングをする利点についてもお話していきます。

それではまた次回お会いしましょう。

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