歩き疲れた少女のように

――つかれたよ ねえ、手を引いて。助けてよ。

歩き疲れた少女のように
私は今 しているのだろう
けれど となりで歩いていた大人は

自分で歩きなさい

と言った

少女は泣いた
手をつき出して この手を取ってと
泣きわめいた

それでも大人は

その足で歩きなさい

と言う

少女は次々とこぼれてくる涙を
手でぬぐいながら言った

――どうして助けてくれないの? どうして手を取ってくれないの?

  もうわたしのことは見捨ててしまったの?

  勝手にどこへでも行けと?

大人は少女に 歩いてほしかった
自分の足で 自分の力で
今までずっと 守られてばかりだった少女に
このまま手を引いてもらってしか 歩けない人では
いてほしくなかった
自分がいつまでも 手を引いていられるわけではないから

そして少女は――


(少女は、歩けるようになるのだろうか――)


#読み物 #歩き疲れた少女のように #小説 #詩

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