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【聞いてみた企画 Vol.2】友禅師 水野可菜さんに聞いてみた!日本の伝統工芸「友禅染」って何?

こんにちは、着物コーディネーターさとです。

皆さんは「友禅染」をご存知ですか?
着物に興味がない方も、なんとなく聞いた事はあるかもしれません。
友禅染は日本の代表的な染色技法の一つと言っても過言ではないと思います。
「加賀友禅」もあるけど、京都の「京友禅」が一番有名かもしれませんね。

でも、その実態については、
詳しく知らない人も多いのではないでしょうか?
「振袖とかの着物の染色技法」とか「京都の伝統工芸」とか…
私もそのくらいしか知りませんでした。


さて、先日、Twitterで友禅師の水野可菜さんのアカウントを見つけました。

少し遡ると、友禅染の途中工程のツイートや以前の作品も度々アップしていらっしゃって、しかも、作品がとにかく可愛いんですよ。
現代的さ、古典的さ、どちらも兼ね備えていて、
とにかく可愛いんですよ。(2回目)


ご自身のお姿も載せていらっしゃるのですが、
お若くて本当にビックリしました。
(職人、伝統工芸、と聞くと、それだけで年配の男性を想像してしまうので…)


ね?「職人さん」と伺ってから見るとビックリしませんか?

水野さんは「挿し友禅」に特化した「友禅師」としてご活躍されているそうです。
しかし、お恥ずかしい事に私は「挿し友禅って何?」という基礎知識も無い状態です。
今回は友禅師の水野さんに、友禅染について詳しく伺ってみました。


水野さんにインタビュー!「友禅染めって何?」



基本的な質問で大変恐縮ですが、
友禅染ってズバリどんな染色技法の事なのでしょうか?

ー 糊を用いて染め分けをする染色技法を指します。
手描きの下絵に筒で糊を置いて、その糊が防波堤の役割をするため、隣り合う色が混じりません。
最終的に防波堤の糊は洗い流すので、糊を置いた場所は生地本来の色の輪郭線となって出てきます。


そういえば最近、糊置きの様子もアップされてましたね!
(With焼き芋。笑)



このほそーい図案の輪郭線が、
手描き友禅の「見た目の特徴」という事ですね…!

ー ざっくりとした説明でしたが、着物を手描き友禅染で染める場合は20工程以上あります。
美しく「染める」という行為のために手間を惜しまないのが手描き友禅染です。


うっ、大変…でも確かに、この美しさは手描き特有のものですよね。
「手描き友禅」と表現されていますが、手描きでない友禅染もあるんでしょうか?

ー 友禅染の中には、手描き友禅染以外に、型友禅もあればインクジェットでプリントされたものもあります。
所説諸々ありますが、今から300年以上前に出版された雛形の本に沢山の模様染の名前と
「友禅染」という言葉、そして「友禅斎」という名前が載っています。
友禅斎とは京都に住んでいた扇絵師である宮崎友禅斎という人物のことで、彼が色んな染色をを応用して生まれたのが友禅染のはじまりです。


なるほど、誕生から今日までに色々な進化を遂げている訳ですね…
「これがこうだから友禅染」と割り切るのは、大変難しいようです。





個人的な興味なのですが、
どうして友禅染めを仕事にすることを目指そうと思ったのですか?

ー 祖父が家具職人だったので祖父の背中に憧れて私も職人を志しました。中学生の頃テレビで手描き友禅染を知って、
「これだ!」と電撃が走り、手描き友禅染を生業にしたいと思いました。
好きなことを仕事にするより、極めたいから仕事にしました。




京都での修行は何年ほどされましたか?

ー 私は修行らしい修行は1年半、手描き友禅染の工房で住み込みをしていました。
住み込みで仕事をしている傍らで週2回程、京都市が運営する研究所で手描き友禅染のプロを育成するカリキュラムがあり通いました。
ここは本科一年が専科一年とあり、2年通うことで着物を染めるための全行程学べます。
住み込みしていた会社では、「水元」と「地入れ」という仕事しかしていなかったので、
それ以外の手描き友禅染の技術は、研究所や住み込みの仕事を辞めた後に入った工房で教えて頂きました。



住み込みとはまた凄い。
ちなみに水野さん、地元は名古屋なんだそうですよ。


無知で恐縮なのですが、
友禅染めの職人になるのって、やぱり弟子入りが必須なんでしょうか?

ー 必須ではないです。
わたしのように住み込みを経験するのは現代では難しいです。
それに、住み込みしても初めから技術を教えてもらえるとは限りません。
そして正式に工房から独り立ちするには10年という歳月を要するところもあります。
いまは大学でも手描き友禅染を教えてくれるところがあるので、
職人を目指すならそういうところへ入学して技術を得るの一つの手です。


「職人になる」と伺うと=住み込み修行、師弟関係、などを
私はすぐにイメージしてしまうのですが、
教えてもらえる学校もあるんですね、全然知りませんでした…!



これはご自分で染められた着物なんだそうですよ。
人の手で描かれているのか…すごいですよねぇ。


Twitterのプロフィールにあえて「友禅師」を名乗っていらっしゃると書かれていますが、
「友禅師」って具体的にどんなお仕事ですか?

ー 友禅師は手描き友禅染の「色挿し」又は「挿し友禅」と呼ばれる工程を担う職人をいいます。
おもに着物の柄のところを彩色する職人です。
わたしは挿し友禅以外の仕事もするけど、言葉の響きが美しくて好きなので友禅師を名乗ってます。


ちなみに、私はこれを伺ってから「友禅染 工程」と検索したのですが、
工程が多くてびっくりしました…ご興味のある方は是非どうぞ。笑


図案は水野さんのオリジナルですか?

ー オリジナルです。
古典的な柄の場合はすでに古典柄として決まった形が多いのでオリジナルではないのですが、
オーダーをくださるお客さまは私のデザインを気に入ってくださった方が多いので、仕事はオリジナルがほとんどです。


お客様が水野さんのデザインを好きな気持ち、すごく分かります…
ほんとに可愛いですもんね。
ちなみに、デザインを考える時はどんなところから着想を得ているんですか??

ー 草花はスケッチして形を理解した後、デフォルメします。
わたしはよくボーッとすることが多いんですけど、その間に頭の中にデザインが生まれることもあれば、日々の生活の中からヒントを得ることもあります。



お話を聞いて、水野さんが友禅染と真摯に向き合われているのがひしひしと伝わってきました…!
普段はあまり接点のない「職人さん」という存在ですが、
SNSを通じてぐっと身近に感じられるようになったのって現代の凄いところですよね。

水野さん、この度はありがとうございました!