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新型コロナウィルス対策の全体像を図解してみた

連日新型コロナウィルスに対する報道がされ、議論は外出自粛による経済対策にばかり注目が集まりますが、全体のバランスを見て判断をしないと私たちも正しく把握ができないと思い、全体像を図解してみました。

新型コロナウイルス対策の全体像

まず図解にあたって一番肝心なことは「新型コロナウィルス関連で一番重要なことは何か?」を決めることです。
色々と大事な考えはあると思いますが、今回は「新型コロナウィルスによる死者数を増やさない」をスタートとしてみました。(論理的に進めていけば、どの問いからスタートしても概ね同じような形にはなるはずです)

ここをスタートにして分解していくと下の図のようになりました。

図1

分解を進めていった結果、大きく分けると論点は3つだと考えました。

①外出自粛(緊急事態宣言)と経済政策
②医療崩壊を起こさせない
③集団免疫の確立

外出自粛(緊急事態宣言)と経済政策

現時点でコロナウイルスに感染していない大多数の人にとって一番の関心事は①の『外出自粛(緊急事態宣言)と経済政策』ではないかと思います。

自分が感染しないようにするためには「個人予防」と「集団予防」がありますが、特に現在は緊急事態宣言による外出自粛が大きな論点となっています。また外出自粛による経済の停滞から失業者が増えるのではないか、経済不況になるのではないかと不安があり、経済政策はどうなっているのかということが連日ニュースでも報道されています。

アメリカでは既に2200万人の人たちが失業保険の申請を行っているということです。これは日本でいえば一都三県で働く人が一気に失業したと同じくらいのインパクトがあります。緊急事態宣言が解消されるのにあとどれくらいかかるか分からないので、日本でも経済的なインパクトがどれくらい大きくなるのか見当がついていない中で、自分の仕事は大丈夫なのか?と誰もが不安に感じていることと思います。

医療崩壊を起こさせない

次の論点は②の医療崩壊を起こさせないです。

ここは医療関係に務めている方や疾患を持って通院をしている方にとっては切実な問題だと思います。ただ現在特に体調に問題ない方にとってはリアリティが持ちづらい部分でもあるのではないかと思います。

実際私も問題だとは思っても、そこまで高いリアリティを持つことができませんでした。そのため、日本ではPCR検査の数が他国に比べて圧倒的に少ないという情報から「もっとPCR検査をして、実態を把握しないとどこまで広がっているかは本当には分からない」と考えていました。

しかし、現状のままPCR検査の数を増やすことはあまり得策ではないことが下の記事と動画を見ることで分かりました。

①神奈川県医師会が、「不安をあおるメディア」に投げかける疑問 「医療現場の現実を、知ってもらいたいのです」
②基本的な数学でコロナウイルス検査を全員にしても意味がないことを証明してみた

もちろん、検査数は増やせるなら増やした方がいいです。ただしそれは検査精度を上げた状態で検査数を増やさないと、医療現場は崩壊してしまいます。私も②の動画を見るまで理解できていなかったのですが、当たり前ですがPCR検査の精度は100%ではありません。50~70%くらいの精度のようです。つまり検査をしても30~50%の確率で間違った判断が出てしまうということです。

この検査精度を上げるためには「検査前確率」というものを上げる必要があり、これは検査する前にある程度コロナウィルスに感染している疑いが高いことを見極めることが必要になります。例えば37度以上の微熱が数日間続いているとか、呼吸するときに息苦しさを感じるようになったなどの症状が見える人に検査を行うことで、検査の効率を上げることができます。

ここが分かっていなかったので、私の周りにも医者に診てもらったけど、検査はしてもらえなかったという人がいたときに「なんで検査をしてくれないんだ」と不満を感じましたが、問診をして感染の可能性の低い人に対してPCR検査をすることは、非常に非効率であることが分かりました

他にも重傷患者への医療のリソースを割かなければいけないときに、むやみに検査数を増やすという方針を出してしまうと、医療現場が崩壊してしまい、例えば他の病気の重傷者への治療がままならなくなるなどの問題が発生するため、医療現場の崩壊だけは何としても避けなければいけないことが分かりました。

集団免疫の確立

そして3番目の論点が集団免疫の確立です。
今後コロナウィルスによる死者数を減らすためには、治療できる状態にすることがとても大事で、そのためにはワクチンの開発が必須です。ワクチンを開発し予防接種をすることで国民に集団免疫ができ、コロナウィルスの蔓延を少しずつ抑え込むことができます。

ただここにも問題はいくつもあり、ワクチンの開発には莫大なお金と時間がかかるため、すぐに開発することはできません。だいたい1~2年くらいかかるのではないかと言われています。

また今回の新型コロナウィルスは抗体ができにくいのではないかという話しもあり、ワクチンの開発にはさらに時間がかかるのではないかという気がしています。

最終的には政治判断になる

以上のことから新型コロナウィルスで死者数を減らすためには3つの大きな論点があることが分かりました。

そして大事なことはこの3つの論点に対してリソースをどう割くかということが一番重要であるということです。経済対策だけにリソースを割いてしまったり、検査前確度を高めずにPCR検査数を増やしたりすることはとてもリスクが高く一瞬だけ良いかもしれませんが、そのあと医療崩壊を起こしてしまったり、結果としてコロナウィルス収束までの時間を先延ばししてしまうことになります。

こういったこと全体のバランスを見て政策を立てるのが政治の役割です。おそらく政権内では上記のことをさらに細かく、また費用対効果を見ながら議論を進めていると思います。ただ、それが私たち国民の目に触れるときには、その一部分しか見えないため伝わる内容によって不安になります。緊急時にこそ政治家の手腕が試されるときですので、その発信内容は今後も注視していきたいと思います。

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