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年始の日記

2021年12月31日から2022年1月1日に日付が変わる瞬間、俺は実家のトイレにいた。おなかが痛かった。今年も昨年に引き続きおなかが痛い。年越しの瞬間はジャニーズカウントダウンライブを見ながらジャンプするというのが毎年恒例なのだが、今回はそれが出来なかった。非常に残念。いきなり心残りである。ココロノコリというコンビ名でコントをやりたいくらいに。ココロノコリニコゴリ。

1月1日。おせちとお雑煮が並ぶ。22歳なのに食べられるおせち料理が栗きんとんと昆布巻きしかない。栗きんとんも甘いから食べられるだけで好きではない。昆布巻最高。食べられるようになったのは今日。昆布巻最高!昼の12時になる少し前くらいに親戚が新年の挨拶に来た。伯母が肌が綺麗だと言ってくれた。かなり嬉しかった。5歳年上の従兄がお嫁さんと一緒に来てくれた。マッチングアプリで出会ったことはまだ隠しているらしい。お年玉をくれた。20分くらいして帰っていった。年々帰るのが早くなっていて悲しい。でも親戚同士の付き合いはこうなっていくものらしい。ふーん。その後友達と通話しながら映画を観た。黒沢清は人を殺している。

1月2日。昨日の残りのおせちとお雑煮が並ぶ。母方の祖父母の家に行った。丁度お昼時に到着した。おせちとお雑煮が並んでいた。叔父とたくさん話した。従妹曰く、話し相手ができてとても嬉しそうだったそうだ。こちらこそサンキューな。犬に3回かまれた。ほえる犬は噛む。ほえる黒い犬は嚙むことを覚えておいたほうがいい。夕方に帰った。長男夫婦とはここでお別れ。義姉ちゃんは年末年始を慣れない家で過ごして気疲れしただろうな。実際便秘気味だったらしい。かわいそうに。俺は一日7回したよ。お疲れ様。きっとだけど先はまだまだ長いからいつかは慣れてくれたら嬉しい。

1月3日。おせちの残骸が並ぶ。お雑煮はもうない。電車に乗って待ち合わせ場所に向かう。少し早めに行って本屋とスターバックスコーヒーに行く。普段は行かないけれど、500円分のギフトをいただいたから有難く使った。店員さんが美人過ぎてカフェモカ/トール/ホットの3単語すべて噛んでしまった。あげく、店内で飲むか聞かれ、持ち帰りでお願いしますと言おうとしたら、出ていきますと言ってしまった。クソキモ態度悪クソキモ客としてブラックリスト入りだ。美人は三日で飽きるなんて言葉があるが、美人を前にしたら三日間ずっと緊張しているだろうから、アレは嘘だと思う。友達と合流した。ブックオフがセールやっていたり目的のお店がやっていなかったりした。探偵に求められるスキルは運転免許らしい。覚えておこう。3人でご飯を食べているから3人分のメニューを注文したのに、途中で1人帰ると残り2人の胃袋と財布にかなり負担がかかることも覚えておこう。レシートを見て笑った。楽しかった。

1月4日。かまぼこ。今日から仕事初めの人が多いらしい。友達と遊ぶため電車に乗った。風が強かったから電車があってよかった。友達は遅刻した。遅刻って絶対にしたくないけど別にされてもいいな。本屋での滞在時間が増えるだけだから。ラッキー。量の多いインドカレー屋に行った。妊娠しているお客さんがいて、いいんだって思った。チェーンのコーヒーショップに行った。友達がガールズバーにお金をつぎ込み過ぎて借金をしていること、恋をしていることを教えてくれた。たくさん話してくれて嬉しかった。スーパーでミニドーナツを買ったら帰り道に転んだ。ドーナツと人生には穴があるとはよく言ったものだけれど、まさにこのこと。

1月5日。かまぼこ。伊達巻。伊達巻があったのを忘れていたらしい。京都に戻る。京都から持ってきた服が少なく、毎日同じシャツを着ていたから毛玉ができていた。毛玉ができたこと、全然気づかなかったこと。両親と車で横浜まで行き、新横浜から新幹線で京都に向かうことになった。車から見える横浜の港町の景色はジオラマのようで嘘みたいだった。工場から出る煙が真っ白で、本物の雲はこっちだと思った。雲ひとつない青空だったから、あの工場が空の雲を全部集めてきれいにして空に返していたのかもしれない。車が高速道路の通行料金を知らせる音を出す。それが俺の身体を強く刺激する。800円。1200円。気持ち悪くなった。中華街を歩く。みんな肩をぶつけ合う。父親が話しかけてくれていたが何も入ってこなかった。喉が渇いた。お店に入る。リーズナブルコース1人3000円。ドリンクを頼めば3500円。税抜き。何がリーズナブルだ。ふざけている。3人で10000円を軽く超えるじゃないか。接客だって俺のほうが丁寧じゃないか。お前らはスーツを着ているだけだ。そんなことばかり考えているせいで味がわからなかった。隣の客が庵野秀明に似ていた。本人だと思った。甲殻類が苦手らしく、外すよう伝えていた。甲殻類という便利な言葉を知らないのか、「海老とか蟹とかがダメ、魚はいける」と言っていた。庵野秀明でも知らないことがあるんだ。嬉しくなった。ブロンドヘアの外国人女性と2人で来ていた。英語で会話していた。庵野秀明カッケー。地下駐車場に車を取りに行く。2時間1200円。馬鹿げている。そのまま新横浜駅まで送ってもらった。車内で庵野秀明の写真を調べたらあまり似ていなかった。新幹線の乗車券を買い、乗り込む。東京駅から乗るのとあまり変わらない値段。神奈川県は壊れている。名古屋駅を少し過ぎたあたりで窓の外を見る。雲の端で虹が縦になっていた。ワクワクした。周りの人は気づいていなかった。俺だけの、俺のための虹。京都に着くとすぐさま部屋に駆け込んだ。育てている苔玉・黒松の盆栽・マメキンカンが心配だった。思いのほか乾いていなかったが水をたっぷりあげた。部屋は異常に寒かった。寒すぎて笑った。何も変わっていなくて安心した。

そんなこんなで冬休みが終わる。また大学に通う日々が始まる。嫌すぎる。2週間。たった2週間。それが恐ろしく、不安なのだ。不安でたまらない。定期券。学期末試験。電車。新しいアルバイト。大学。不安でたまらない。やっぱり年明けの瞬間にジャンプするべきだった。そうしたら一歩踏み出せたかもしれない。何かが変わったかもしれない。今ジャンプしてみたって意味なんかないんだろうな。あーあ。ちなみに提出期限が過ぎた課題の存在にさっき気づいた。手遅れだ。テオクレンだ。コンビ名はテオクレンに決定。キマグレンみたいでかっこいいし。手遅れな人募集中。いきなり躓いているわけでもあるしツマズキンとかもいいな。ズルズキンみたいでかっこいいし。躓いている人募集中。さよなら。さようなら。

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