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現代アートについて知りたくなった人に最初にオススメする5冊

今回は「現代アートについてちょっと勉強したくなったなぁ」という人が肩の力を抜いて読める本や美術館に行く前に予習に使えそうな本を中心に選書しました。

1.『現代アート、超入門』藤田令伊

個人的な話で恐縮ですが、2018年に上司とうまくいかず、仕事に行けなくなった頃、美術館通いをはじめた私が「現代アートについてちょっと勉強してみようかな」と思って最初に手に取った本がこれです。小崎哲也さんの『現代アートとは何か』は初心者にとっては難しすぎて、本屋で手に取っても頭にちっとも入ってこない訳ですよ。そのとき、とにかく1日くらい時間があればスラスラ読めて現代アート初心者の疑問を解決してくれそうな本はないかと探して読みました。藤田さんはとにかく「あなたはどう思うか」問いながら、それぞれのアート作品が発表された頃の周囲の反応やアーティストの置かれた立ち位置を示してくれます。

2.『めくるめく現代アート イラストで楽しむ世界の作家とキーワード』 筧菜奈子

筧菜奈子さんは1983年生まれの現代アートの研究者です。ジャクソン・ポロックフランク・ステラで論文を書いている方で、2019年現在は早稲田大学文化構想学部の非常勤講師をしていらっしゃいます。この本は、マルセル・デュシャンではじまります。やはり、男性用の小便器にサインをして展覧会に出品し「アートの概念を根本からぶっ壊す」ことをやってのけた彼は現代アートの第一人者でしょう。デュシャンは1968年に逝去しているので、彼を現代アートという括りで取り上げられなくなる日も近いかもしれませんが。本の後半には現代アートを読み解く上で、重要なキーワードの解説もあります。

3.『現代アート事典』

先に挙げた2冊よりも現代アートに対する解像度が高くなる1冊です。人物ごとではなく完全にキーワード別の解説です。美術評論家の暮沢剛巳さんや松井みどりさん、美術ジャーナリストの藤原えりみさん等、著名な方たちが書いていらっしゃるので、とても内容がしっかりしています。

4.『増補新装 カラー版 20世紀の美術』

この本の表紙の3つの作品をみたことありますか?正解は、上がアメリカのアンディ・ウォーホルと同時代に活躍したアーティストの画家ロイ・リキテンシュタイン《どうにもならない》。左は縦に引き伸ばしたような細長い人物像が特徴のアメデオ・モディリアーニ《扇を持つ人》。右は昨年2019年に設立100周年を迎えたバウハウスで教鞭を取ったロシア出身の画家ヴァシリー・カンディンスキーの《コンポジションXIII》です。美術検定2級のときに慌てて載っている全作品を覚えようと必死に努力しましたが、私が受けた年には試験にはそんなにたくさんは出ませんでした。でもこの本に出てくるアーティストを知っておくと、美術展で「あー!みたことある!」という人が増えますし、誰が誰に影響を受けているか少しずつ透けて見えるようになります。

5.『アートの入り口 美しいもの、世界の歩き方〔ヨーロッパ編〕』河内タカ

河内タカさんは、1960年生まれでニューヨークを拠点に現代アートや写真のキュレーターをしている方です。写真集の編集や写真に纏わる執筆もしていらっしゃいます。河内さんの本のいいところは、一緒にお洒落なカフェでコーヒーを一杯呑みながら話しを聞いているような気分になれることです。一人称で語られる絵の解説は、彼の記憶を辿りながら展開されるのでデートをしているかのようです。この本の最後の章は、デュシャンです。彼の語るデュシャンはいったいどんな人物なのでしょうか。気になりますよね。

さて、今回は「現代アートについて知りたくなった人に最初にオススメする5冊」を選びました。このnoteを書きながら、久しぶりに全て読み返して観たくなってきました。次回は現代アートの中級編の本についても紹介したいと思います。

(ヘッダーの写真:Photo by Ian Williams on Unsplash)

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