見出し画像

西村正著『司馬さんに嫌われた乃木・伊地知両将軍の無念を晴らす』【なんちゃって感想文📕】

(730文字)

インパクトのあるタイトルに目が止まり、図書館で借りてみました。

シンプルに説明すると、小説『坂の上の雲』での乃木希典伊地知幸介の行動を、実際の史実と比較したものです。

『坂の上の雲』の舞台である日露戦争で、乃木希典は旅順攻略戦の指揮をとり、伊地知幸介は参謀長を務めました。

小説では、旅順攻略に3回の総攻撃を行い、最終的に203高地を占領するまで6万人近くの死傷者を出した乃木・伊地知は無能だと書かれていますが、その司馬さんの考えに異を唱えているのが本書です。

なぜ小説なのに史実と違うことが問題に挙げられているのかというと、『坂の上の雲』のあとがきで司馬さん自身が、

「この作品は小説であるかどうか、実に疑わしい。ひとつは事実に拘束されることが百パーセントにちかいからであり・・・・」

P.316

と述べており、
また『明治という国家一九八九年』にも

「それ(日露戦争において日々変化する細部)が一つの間違うと何の意味もありませんし、しかしそれを間違えないように書いたところでそれは文学的な価値とは関係がないのです。労多くして功のすくない作業でした。」

と同じようなことが書かれています。

(私の言葉で上手く説明できる自信がないため、小説と史実の相違点など詳しい話は飛ばさせていただきます💦)

司馬史観という言葉を知っていても、その司馬史観にどういう特徴があるのかは存じなかったため、本書を読んでいつもと違った方向から『坂の上の雲』を捉えることができました。


また個人的には、前半の作者の旅順巡りがとても興味深かったので『坂の上の雲』を読んでいなくても日露戦争に興味がある方は楽しめるのではないかと思いました。

(現在は町が発展し、203高地から旅順港は見えないそう)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?