ロクシタンの戦略分析 【事業戦略分析➁】

 気の利いた友達からロクシタンのハンドクリームを頂きました。夏用にレモン・グレープフルーツの香りがさわやかです。最近はどこに行ってもアルコールで手を消毒するのですが、夏場にハンドクリームは気づきませんでした。ありがたいです。

ハンドクリーム

 そこで、改めてロクシタンから市場戦略を学んでみました。

 ロクシタンが日本に入ってきて最初の頃に小さなお店をオープンされたので、興味本位で入ってみました。お客様は他に誰もいなかったので、店員さんが熱心に商品説明をしてくださいました。

 その説明もシアバターについて延々と。小難しい説明とオーガニック、植物療法、アロマテラピーは当時日本ではもう目新しくはなく、「また同じようなものが出てきた」くらいでした。

 ロクシタンの缶入りは、お土産で頂いたことがあったので、ロゴはうっすら認識している程度。

 ところが、クリスマスのギフト用として、ハンドクリームが透明ビニル袋に入っていてかわいいリボンが付けありました。これがきっかけで買ってみました。ロクシタンのハンドクリームは、価格的にも見た目にも、実用的にもちょっとプレゼントするのに適しているのです。

 ハンドクリームというのは化粧品の中では、わき役。化粧品メーカーのものをわざわざ買いに行くということはありませんでした。普段使いなら、ニベアなどドラッグストアで販売しているものがメイン。しかも効果が高く、お値段も手ごろ。

 ハンドクリーム市場でみると、ロクシタンはちょっと高めで上質ないいものというポジションが取れます。

 そしてプレゼントで使ってもらうことによるサンプリングは大成功で、一度使うと保湿効果の高さや、品の良い香り、伸び、肌へのなじみやすさ・・・。とても良いのです。

 興味が湧いてきたところで、パンフをよくよく見ると、製品特長や会社の想いなどが書かれていて、信頼がおけるとわかります。

 そこから、他のスキンケアも買ってみようと思いました。

 パッケージデザインもどんどん洗練され、パンフもサンプルも、紙袋もどんどん洗練されていき、存在感のあるブランドへと成長していったというのが私の見解です。

 最近の紙袋もさわやかで、街中で持っている人を見てロクシタンを思い出し、行ってみたくなりました。

ロクシタン 袋


 化粧品会社のコンサルティングもたくさんしているのですが、残念ながらロクシタンほどの成功を収めたところはありません。新規参入組は、一発屋となったり、歴史ある化粧品メーカーは過去からのお客様に支えられているのが現状。

 激戦化粧品市場は一点突破できるカテゴリーが必要なのだと思います。そのためにはどんなポジションをとるのかが大事です。

 そして何より、コンセプトやイメージ世界観の表現力。特長や想いを文章で表現するだけではなくデザインに落とし込んでいかなければなりません。

 ロクシタンは自然派ですが、ブランドカラーの黄色はエッセンスで使っているイモーテルという黄色い花から来ていると思います。

イモーテル 写真

 クライアントさんで自然派と言えば、どこもオフホワイトを出されます。どんなイメージにしたいのか、足元をよく見てイメージを膨らます必要があります。

 またどんなに鮮明なイメージを持っていたとしてもデザイナーさんとの相性も大きな要素です。コンセプトが理解できて表現の引き出しをたくさん持っていらしゃるデザイナーさんに出会わなければなりません。(実はこれがすごく難しいです。)

 意思決定者はブランドに対する強い意志と覚悟を持ち、常に審美眼を鍛えるのが成功のカギだと実感しています。よさそうなブランドが出てくると、知らない間にそれに影響を受けたブランド管理では、エッジを立てることは難しいのです。

 特長が希薄になったブランドは崩壊ですので、自社ブランドの良さを常に見つめ洗練させていかなければなりません。

熱く語りましたが、ご参考になれば幸いです。


 


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?