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『美しい万年筆のインク事典』(書籍)【商品分析⑩】


  とても良い本が出ていました。武田健著の『美しい万年筆のインク事典』(株グラフィック社)です。

美しい万年筆のインク事典

「万年筆とインクのきほん」から始まり、「色の世界へようこそ!」ということで、約700色の色とメーカー、それにストーリーやテーマが紹介されています。パイロット、セーラーといったメジャーなものから、ご当地インクや希少インクまで書かれています。ほとんどが初めて見るものばかり。

著者が10年かけて集めたインクの一部を色ごとに分類されたそうです。本当にお疲れさまでした。お陰様で、万年筆の楽しみがぐーんと増えました。

このような本をずっと待っていました。「2020年6月25日 初版第1刷発行」「2020年7月25日 初版第2刷発行」とありますので、たくさんの人が待ち望んでいたのでしょうか。

通常はお店で、メーカーごとやシリーズごとに色見本があってそこから選ぶことが多いのですが、ひとつの色について沢山のメーカーのものが並べられているので見やすく、気兼ねなくじっくり選べるのがいいですね。いろいろな色を試してみたいです。


私が万年筆を使い始めたのが2015年から。それまでは、筆記具にそんなにこだわりがなかったのですが、その頃新しく取引が始まったクライアントさんが、私のノートを見て非常に感動されたのがきっかけで使い始めました。別のクライアントさんのノート開発のお手伝いをしていて、いろいろ珍しいノートを集めていたので、その中の1冊をその新しいクライアントさん用に使ったのですが、それを見てクライアントさんが、「うちのために高いノートを使ってくださっている。このビジネスはそんなに期待が持てるのか!よっしゃーやるぞ。」とおっしゃったのです。

ノートがこんなにパワーがあるアイテムとは思っていなかったので、こちらとしてもびっくりです。それならば、万年筆を使えばもっとパワーを与えることができるのでは?と思い使い始めました。

ところが、使っているうちにとても愛着がわいてきました。しかも万年筆を使うと、集中力が高まることを発見。どんどん万年筆にはまっていきました。

最初はインクを入れるのが面倒だと思っていましたので、カートリッジにしてましたが、色の濃淡やかすれ具合がとても美しいのです。そうなると、コンバーターでいろいろな色を試してみたくなりました。インクの瓶もおしゃれで、選ぶのがますます楽しみになりました。

今、主に使っているのは、パイロットの「色彩雫」(iroshizuku)シリーズです。瓶がおしゃれで気に入っています。

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           <パイロット HPから>


ちなみに、今、仕事で苦楽を共にしている万年筆はこの3本。

万年筆たち2 横


一番最初に買った一番上のは、「プラチナ #3776 」。胴軸部分が、地中深く眠っていた木片を使っていて、世界に1つしかないというので、パワーグッズとしてはもってこいと思いこれにしたのですが、それ以上に書き心地が抜群でした。

紙にそっと置いただけで、すーーーと書けるのです。インクの出も大変よく、インクがなくなる最後の最後までほとんどかすれがありません。たっぷりとインクが出てくるのです。


一番細いものだったので、もう少し太いのを使ってみようとお店の人に相談したら、真ん中のモンブランを勧められました。

ところが、これは最初の書き出しで紙と密着せずに浮いてしまうのです。そして中字なのに、細いのです。しかもインク出も途中で出にくくなったりと、プラチナではなかったトラブルが次々に発生。しまったなと思いつつ、お店に持って行って調整してもらおうとしたら、そもそも使い方が間違っていました。

ペン先は少しこちら側、すなわち内側に傾けます。インクの入れ方も最後に空気を抜くようにするとか。そうやって使っていくうちに、自分の書き癖通りにペン先が削れて、たっぷりのインクがぬるぬる~と出てくるのです。濃淡がきれいで、書いているときの「カサカサ」という音もいい感じ。書くことが楽しくなります。


そして、一番下は、「モンブランの星の王子さま」の「きつね」をモチーフにしたものです。

「大切なことは目に見えない」というフレーズが思い浮かび、広告を見てすぐに買いに行きました。

太字で、とても味のある字が書けます。


万年筆を使っていて良いことは、表現力が高まること。自分の癖のある字が、美しく見え、味わいがあるのです。時間をおいて読み返してみると、書いた時よりも、色が少し深くなっていて新鮮な感じがします。

そして、万年筆を使うときは、集中力が高まるのです。文字を間違えないようにしようという意識と、どんな色目が出てくるのかというワクワク感で、パソコンで文字を打っているのとは違う緊張感があり、集中力が高まっていることに気がつきました。

という具合に、奥の深い万年筆を楽しんでいます。


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