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【詩作】やさしい昼寝


夏休みみたいな冬が
すぎて、たそがれ、窓開けて

空隠す、高層雲
うそ泣きの向こうの向こうに
ほんとのきもち

飛んでゆけたなら、今すぐゆくよ
それはちょっと、かなしい言葉
僕ならこうやって、頭の中の地面を
歩いてゆくのに


微睡み、オレンジ、染められて
窓際、やわらか、綴じた日々
海眺む、随想、読了、山の上
時折、指折り、数えた、記号の渦
寝返り、返る、時の波
生き死に、ほとぼり、まだ此処に
あなたを好きで、嫌で、どうでもよくて
ふしぎと特別とふつう
近寄る時刻、転がる西日
身体が覚えた振動、心地に委ねれば
言葉が何を示せるというの

とめどなく、とりとめもなく
頁のような思い出、はらはらと。
めくるめく、美しいあなたは
裸木の隙間を縫う、風と語り合う


まるい世間を切り取る
煙のかたち
僕は裸の指と手を
陽だまりに浸して、冷やされて
鼻歌まじりの移ろいに
目をつぶって、また開けた






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