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日本の宇宙スタートアップ市場が活況③

The Scope of Expansion

東京を拠点とするインフォステラーは、2016年に設立され、「地上局のAirbnb」と呼ばれており、グローバル展開を目指しています。同社は最近、Airbus Venturesがリードする資金調達ラウンドを完了し、アメリカの宇宙産業のベテラン、Tom Pirrone氏を最高戦略責任者として採用した。CEOの倉原尚美氏によると、インフォステラーは来年、米国にオフィスを構えることで事業を拡大したいと考えており、Pirrone氏を採用することでより多くの米国の顧客をターゲットにしたいと考えています。英国にもオフィスを持つインフォステラーの顧客ベースは、日本人とヨーロッパ人の半分程度だといいます。

インフォステラー・・・周回衛星向け地上局共有プラットフォーム「StellarStation」の開発を行い、アンテナの共有による衛星通信の実現可能性を検証しているスタートアップ。昨今では、超小型衛星の打ち上げ費用が格段に下がった事により、一般企業による衛星の打ち上げ数は急増している。今後も技術革新により、さらにコストが下がり増えてくる可能性が十分にある。そんな中、アンテナを含めた地上局の非効率性に目を付けたのが同社であり、待機時間となってしまっているアンテナを他の衛星運用者に貸すマーケットプレイスを構築している。

日本の宇宙産業はもちろん、宇宙産業でも数少ない女性CEOの一人である倉原氏は、会議やスタートアップのイベントでは、ほかの参加者が男性ばかりの時に、時々違和感を覚えるという。彼女は、それが自分のビジネスを妨げているとは感じていないが、一部の人が彼女をどう見るかに影響を与えていると信じています。

「ビジネスの場で女性やCEOになるのはそれほど難しいことではありませんでしたが、ビジネスミーティングでは、ビジネスパーソンや顧客が同じレベルで私を見ていないと感じることがあります。」と彼女は言います。「取引先や顧客との関係を築く必要があります。彼らと信頼関係を築ければ違いはありません。しかし出発点は違います」。

「英語と日本語の壁は、海外の顧客を増やす上での課題です」 と倉原氏は言います。彼女は、日本では言語、文化、時間帯が民族として共有されているので、日本の顧客とビジネスを成長させるのは簡単だと言いました。彼女は、Pirrone氏がこのようにインフォステラーを助けることを期待しています。

日本と英語圏のビジネス界との間には、宇宙産業に限った話ではない、強い言葉の隔たりがあります。日本のUXデザイン会社Mitsue-Linksの非公式調査によると、日本人の10%未満しか英語の専門的でビジネスで活用できる能力を持っていません。

岡田氏は倉原氏に賛同し、言葉の壁は日本企業にとって大きな課題だと言う。Astroscaleでは、エンジニアが英語でディスカッションやドキュメントを作成するための英語環境を作るという課題を克服した。

「日本は自然の美しさを表す素晴らしい言葉ですが、ビジネスには不便です。厳しい言葉の壁があります」と彼は言います。

岡田氏はAstroscaleと共にグローバル展開の道を歩んでおり、現在同社は日本、英国、米国、イスラエル、シンガポールの5カ国にオフィスを持っています。実際、岡田氏はAstroscaleを一般的な日本企業とは違い、グローバル企業と考えており、同社の経営陣8人のうち日本人はわずか3人だと述べています。

岡田氏は、宇宙産業におけるグローバルな「人材争奪戦」について語り、それは複数の地理的地域で雇用する必要性を作り出します。Astroscaleにとって、これまで日本、ヨーロッパ、そして米国であったが、アメリカへの進出はAstroscaleの成長の重要な部分だったと岡田氏は言います。同社のオフィスは米国のワシントンDCとコロラド州デンバーにあります。ワシントンDCにオフィスを構えることで、Astroscaleは規制当局、NGO、学界と直接的な関係を築くことができました。これは、宇宙の持続可能性に関する公共政策に影響を与えるというアストロスケールの使命の一部として、特に重要です。

「アメリカがその政策の中心であり、D.C.がその中心である。規制当局と直接関係を持つことは非常に便利です。」と岡田氏は言います。「要するに、アメリカなしでは、我々はゲームをすることができない」。

SynspectiveのCEOである新井氏も、日本のスタートアップは積極的に海外展開をしなければならないと述べていますが、日本は地理的にアジアのターゲット市場から少し離れていると指摘しています。「現在のCOVID-19の状況の影響下での移動はより困難である。」と新井氏は言います。

日本のニュースペース産業は近年、新規参入者が急増しているため、市場は変化の時代にあり、これらの企業がグローバルなステージで自らを証明するには、言語や文化の障壁を越えなければなりません。

インフォステラーの倉原氏とGITAIの中ノ瀬氏は、投資が増加し企業が成長するにつれ、今後数年のうちに数社の日本の宇宙関連スタートアップが上場すると予想しています。

中ノ瀬氏は、顧客の要求に焦点を当てた企業が最も成功するだろうと言います。「資金だけに頼るのではなく、お客様のニーズに合わせてビジネスを立ち上げることで、売上などの成果を上げてきた宇宙関連のスタートアップの中には、今後数年でさらなる事業拡大の大きなチャンスが訪れると考えています。その結果、今後数年のうちに、日本で最初に株式を公開する宇宙企業になると考えています。」 

【原文へ】" Japan's Space Startup Market Blooms

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