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衛星通信のトレンドとか

こんにちは、

suikaspaceです

先日、SPACETIDE2022が開催されましたね

衛星や宇宙機の開発でいうと、SatelliteやIAC、宇科連などのカンファレンスや学会が有名ですが、SPACETIDEもビジネスという点では、少なくともAPAC地域では最大規模のカンファレンスになってきていると感じさせられるカンファレンスでした

今年は引き続きコロナ禍ですが、海外からのスピーカーやパネリストも多く登壇されていたことが印象的でした

そこで、

今回は衛星エンジニアの視点からとくに面白いと思ったセッションをピックアップしました!

タイトルはずばり...

衛星通信の技術革新と市場ポテンシャル
Technological Advancements and Market Potential of Satellite Communication

こちらのセッションでは衛星通信のトレンドと今後に関しての議論が繰り広げられました。ざっくりいうと、LEOにおけるコンステの配備が進む中、将来のGEOやLEO、また、光通信などの衛星通信は今後どうなっていくのかという内容でした

今回パネルに登壇されたのは以下の3社でした
Kymeta:電子ビームフォーミングアンテナや衛星通信用端末を製造している企業。通信衛星の分野だとモバイル端末(移動局)と衛星との通信サービスを推し進めている
Mynaric:宇宙空間におけるレーザー通信(光通信)の開発を進めている企業。航空地や地上局向けのレーザー通信の開発も進めている。
NEC:言わずもがなですが、日本で大型衛星を開発している企業。はやぶさなどの探査衛星をはじめとし、ASNARO-2などの地球観測など多様な衛星を製造している

セッションの中で気になったこと
Kymeta社はmobile broadbandをキーワードに移動型の地上局(端末)と移動型の衛星(GEOは静止なのでLEO)を組み合わせることでどこでも通信ができる環境を作ろうという試みを実施していました。たしかに、日本や先進国ではどこでもインターネットはつながりますが、発展途上国においては需要があるサービスですよね

一方で、Mynaric社は光通信の配備を進めているのを強調してました。光通信は電波に比べて高速で大容量のデータを送信できることから地球観測データなどのやりとりで有利であると述べてました
私の知っている現時点の光通信の技術では、衛星-衛星間や衛星-地上間の光通信は指向性などで解決しなければならない課題が多いという認識です。しかし、光通信は電波法の適用外となるため、設備の申請に時間がかからない点と上述のようなデータ速度/容量の点では有利なので、電波では制限の多い通信の分野(衛星ー衛星のデータ送信など)では有用なサービスになるだろうと思います

NEC社はreal-time actuationをキーワードにon-board computingの開発を掲げていました。さまざまなソリューションはありますが、一例として挙げていたのは、交通管理システムなどのとくに低いレイテンシーが要求されるシステムに対して、よりリアルタイムで動作可能なシステムを作っていくというのが目標のようです

まとめると
今までは衛星通信といえば電波を用いたGEOの大型衛星による通信が主流でしたが、OnewebやSpaceXのLEOコンステの配備により、今までとは異なる衛星システム、地上システム、ソリューションが考案されているのを感じました。衛星エンジニアとしては衛星のバリエーションが増えてわくわくがとまらない議論でした!
また、これまでは宇宙ビジネスと言えばデータ利用の分野が主流となっていました。しかし、今回の各社の話より通信衛星という比較的ビジネスへの参入障壁が高い衛星インフラの分野において、多様な技術やソリューションが考案され、いくつかは実証段階にあると伺い、産業が急速に大きくなっていることを痛感しました
今後、どういったサービスが残るかは分かりませんが、それぞれのuse caseが異なることから、衛星通信としての解は一つではなく、局所最適解のような形をとっていくことが考えられます

もう一歩だけ話を宇宙ビジネス全体に拡げると、輸送事業においても民間による宇宙ビジネスが進んでいることから、今後は宇宙にもの/人を運ぶ宇宙機の開発だけでなく、運ぶまでのサービスの競争が加速することが考えられます。また、月や火星環境を利用したビジネスも今はまだ目的地にたどり着く、環境を知るということに重きが置かれていますが、今後はそれぞれの環境において、多様なソリューションが生み出され、サービス競争が進むことが予想されます

いずれにしても、衛星通信の市場が拡がっていること、また、宇宙ビジネス全体においてもビジネスの広がる余地が大きいことがよくわかる議論でした

今後が楽しみですね


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Large clam (delicious)!!


ほぼほぼ解説気味な内容となってしまいましたが、今回は衛星の話でした

ではでは


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