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アメリカ フォー・コーナーズ チャコ文化国立歴史公園

アメリカ

 こっちは○○、向こうは××、だからちょうど境界線の上に立っているんじゃないの、なんて友人に言われると妙に感心したり、はしゃいだ気分になることがあるものだ。たとえば紅葉狩りの道すがら、山歩きでもサイクリングでも遠足でもいいけど、県境を越える時などにこういう経験はよくあるのではなかろうか。そのとき衝動的に境界線を跨ぎたくなる、跨いでしまうという行動に出てしまうのも何故か不思議な気がするのだが・・・。
 境界線が一本でも行動に変調をきたしてしまうのに、四本だとどうなるのだろう。四本の境界線、その交点は物珍しさゆえに人を引き寄せるし、とりあえずは観光面での売りになるようだ。それがアメリカではこのフォー・コーナーズだ。

 アラスカとハワイを除いたアメリカを表示している。破線は州境。左にフォー・コーナーズ。ズームイン。

 中央にフォー・コーナーズ。

 右上にコロラド州。時計回りに右下にニューメキシコ州、左下にアリゾナ州、左上にユタ州。右下にファーミントン ( Farmington ) の町、その下にチャコ文化国立歴史公園 ( Chaco Culture National Historical Park )。

フォー・コーナーズ

 衛星画像は、2023年11月10日。マーカー地点がフォー・コーナーズ。近くの川はサン・フアン川。ズームイン。

 中央になんとか見えるだろうか。

 参考衛星画像は、2022年6月13日。アクセス用の道路は1本だね。

 正方形の四辺の赤い建物には、土産物などを売るショップが入っている。

 中央の記念碑には、四州の州名が刻まれた金属プレートが埋め込まれている。

フォー・コーナーズ地域空港

 フォー・コーナーズの周辺には、アウトドア派、山好き、荒野のトレイル好きにとっていやというほど楽しめる観光地が点在している。観光地といっても乾燥地帯、そうそう気軽に歩いていける距離ではないが、アリゾナ州のモニュメント・ヴァレーを始めとして広大無辺、絶景の国立公園が広がっている。
 今回は観光の拠点として、ニューメキシコ州のファーミントンに立ち寄ってみよう。ここからはチャコ峡谷まで車で3時間だ。マーカー地点のフォー・コーナーズから東へ行くとファーミントンの町がある、画像中央。ズームイン。

 ドット状に見える円形の耕作地は、センターピボット方式の農場の集まり。中央上に空港。

 参考衛星画像は、2022年9月22日。

 遊覧飛行用の軽飛行機だね。

チャコ峡谷

 ここでのマーカー地点はチャコ文化国立歴史公園。左上にファーミントンの町。ニューメキシコ州北西部、コロラド高原のサン・フアン盆地にチャコ峡谷がある。
 この峡谷には西暦850年から1150年にかけて、先住民プエブロ族が定住し、集落を築いていた。トウモロコシなどを栽培し、トルコ石を採掘・加工し交易を行っていたといわれる。また、天体観測によって住居を建設したとみられる痕跡や岩絵も残されている。プエブロ文化の中心地であった。
 しかし、周囲は砂丘、山々に囲まれ、たとえば気温の変化は―39度から39度というように自然条件はかなり厳しい。 

 チャコ峡谷の風景。

 中央上あたりに注目。

 参考衛星画像は、2017年2月8日。大きな遺跡がある公園の中心部。

 左からプエブロ・デル・アロヨ、プエブロ・ボニート、シェトロ・ケートルの遺跡群。

プエブロ・ボニート

 公園内最大の集落遺跡。広さは8000平方メートルで、住居は大規模な集合住宅のようにつくられている。確認されているのは800ほどの部屋、大小円形の部屋。円形の部屋はキヴァといわれ、半地下の施設で宗教儀式の空間や集会所として使われていたという。
 住居の一部には4、5階建ての構造もみられ、建築技術の高さが知られている。1941年に後ろの崖が崩落し、建物の後部が破壊された。特徴的な「D」の文字の形状をしている。ズームイン。

 キヴァの内部の様子がわかる。

プエブロ・デル・アロヨ

シェトロ・ケートル

カサ・リンコナーダ・コミュニティ

 現在では、プエブロ・ボニートの人口は800人程度、居住地というよりむしろ儀式の中心地ではなかったかと推定されている。

 1130年から50年も続いたといわれている干ばつのために人々は移住、集落は放棄され、プエブロ文化は消滅した。関与していた他の部族にとってもチャコ峡谷は、神聖な先祖の地として崇拝されている。チャコ文化として世界遺産。

 左上に遺跡群。右下にビジターセンター。

 チャコ文化が300年ほどで消えてしまったのは何故だろうか。チャコ峡谷では周辺の森林の樹木が集落建設用の木材として、または燃料として使われた。樹木の伐採と干ばつのために森林の地下水が枯渇し、土地が痩せていった。人口を維持する上で十分な作物が得られなくなったから、とされている。

 ほんとうに世界のあちこちで干ばつが50年も続いたら・・・。でも、あり得ない話だと笑い飛ばす気になれないんだよね。来年の夏はどうなるのか。

注記)
a.
衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する EO ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。.
b.地図画像・参考衛星画像は、Esri が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。


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