見出し画像

チリ サンティアゴ 地図から消えたアクレオ湖に水が!?

チリ

 見出し画像は2023年2月22日のアクレオ湖。
 湖にまつわる古い伝説によれば、
「湖の底には大量のインカの金が沈められている。水中の金が光って見える夜もあった」
と語られていた。2千年以上にわたって存在していたアクレオ湖が乾ききって、ひび割れた湖底をさらしていた間、それらしき金が見つかったというニュースはなかったようだ。

 南米大陸の南半分を表示している。南北に細長いチリの、ほぼ全体が見える。左の海は太平洋、右は大西洋。ペルー、ボリビア、アルゼンチンと国境を接している。

 首都のサンティアゴ ( Santiago ) はチリ中部に位置している。

 アルゼンチンとの国境にはアンデス山脈が横たわっている。

 中央にアクレオ湖。右上にサンティアゴ、60キロほど離れている。

サンティアゴ

 衛星画像は2024年7月1日。マーカー地点がアクレオ湖。南半球だから今は冬だね。アンデス山脈の雪がサンティアゴに迫っている。ズームイン。

 右上から流れているのはマイポ川。アンデス山脈のふもとに源流があり、サンティアゴの南を通り、最終的には太平洋に達している。

 アクレオ湖はマイポ川中流域の水系である。

昔のアクレオ湖

 参考衛星画像は2009年12月23日。
 2010年以前、夏になると町から大勢の人が避暑やレジャーのためにやってきた。浅瀬では水泳、ボート、ウィンドサーフィンを楽しんでいた。キャンプ場もにぎわっていた。
 山に囲まれた避暑地は天国のような場所だったと懐かしむ人もいる。
 ところが、その頃から湖の水位が下がり始めていた。

 参考衛星画像は2013年11月23日。チリ全体が干ばつに見舞われていた。水位が下がり、岸辺が少し広くなっている。

アクレオ湖の変化

 アクレオ湖がどのように涸れていったのか、衛星画像によってその経過を見ていこう。水深は6m、広さは12平方kmほどだった。湖沼としては水深の浅いラグーンに分類される。
 2016年10月21日。

 2017年7月18日。

 2018年7月8日。5月には完全に干上がったと記録されている。

 2019年6月18日。

 2020年7月22日。いくらか雨が降ったのだろうか。

 2021年7月2日。湖が消え、観光もなくなり、キャンプ場もビジネスも何もかもが消滅した、と振り返る住民もいる。

 2022年7月22日。

 2023年6月17日。

 2023年8月26日。雨季に入り、8月になってまとまった降水量が見られた。湖の回復の兆しだった。

 2023年10月15日。

 2023年12月19日。

 2024年2月17日。乾季の夏、水位が下がっていく。         

 2024年4月17日。

 2024年6月16日。雨季。周辺の雨が流れ込んできたようだ。

 2024年6月26日。水量が増えているのがわかる。

 2024年7月1日。回復した水や湖を見た住民は、昔の風景がよみがえってきた、と話している。

湖岸の変化

 消滅した湖の様子を見るために、湖岸の変化を詳しく調べていこう。
 参考衛星画像は2009年12月23日。正常な水位。以下は参考衛星画像。

 2013年11月23日。

 2017年2月12日。島の一つがつながった。

 2018年11月10日。ほとんど水はなくなった。

 2019年12月9日。

 2021年1月10日。

 2022年3月2日。

 チリ中部では1970年以降降水量が減少しているという。気候変動による干ばつが10年以上続いたこと、大規模農業、乱開発による水利用が激増したことが、今回の湖の消失のおもな原因とされている。
 湖の回復は一時的なものなのか?長期の干ばつの影響を取り戻すには、少なくとも5年間の多めの雨、雪が必要だと専門家は警告している。アクレオ湖の存続のために湖水回復プロジェクトがスタートしているそうだ。

注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する COPERNICUS ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。.
b.地図画像・参考衛星画像は、ESRI が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?