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僕の書評(1)-ヤマザキマリの男性論が凄い!-

映画「テルマエロマエ」の原作者、そしてときどき、テレビの教養番組で控えめに博識ぶりを披露する女性、と言えば、大抵の方は思いつくだろうと思っていたが、そんなことはなかった。

 このヒントで正解に辿り着いた人は、私の周囲には一人もいなかった。

 正解は「ヤマザキマリ」さんである。

 そんな彼女のエッセイ「男性論」が、何故かアマゾンで「あなたへのおすすめ」として表示された。

 ご承知のとおり、アマゾンの「あなたへのおすすめ」には、抗しがたい魔力があるので、迷わず購入。

 エッセイに限っては、熟読しないよう長年心掛けてきたので、サラッと済まそうと思っていたが、さすが「ヤマザキマリ」。熟読しちゃいました。

 明瞭、簡潔、率直に彼女は彼女の「男性論」を展開し、その合間に、随所で彼女の人生観と彼女の歴史を披露してくれた。

 率直に言って、彼女の、本のタイトルにまでした「男性論」はつまらなかった。

 要は、寛容で謙虚で独創性のある男が「いい男」だ、そうである。

 そんな大上段に構えた話、キャバクラの小娘でも出来ます。

 この本の真の魅力は、巷に溢れる啓蒙書を嘲笑うかのごとく平易な言葉で、人生を満喫するための思考を読者に知らず知らず植え付けてしまうところにある。

 彼女は、中学2年生のとき、お母様の画策でヨーロッパを1ヶ月1人で旅する羽目になる。

 おそらく、これが彼女の人生をあれほど有意義にさせた「全て」といって過言でないと思う。

 この旅行を契機に彼女は世界を基準に生きていくことになる。

 そして、その起伏に富んだ彼女の人生の要所要所での取捨選択には、常に「別に、いつ死んでもいいよ、ヘヘヘ」的な境地が垣間見える。

 この感覚は前述のヨーロッパ一人旅の時から培い始めたモノと推察する。

 そしてそれが彼女を成功に導いた源泉だと、私は思う。

 この、ある種の諦観は人生満喫のためだけでなく、仕事において大成するためにも必要な要素だろう。

 これ以上の詳細は控えるが、この本はこれから多くの人生の選択を迫られる中学生に読んで欲しい一冊である。そして、親に土下座してでも海外、出来ればヨーロッパへ中学生のうちに一人旅をさせて貰って欲しい。

 私がこの本に中学生の時出会っていれば、全く違った人生を歩んでいたと思う。

 余談になりますけど、ヤマザキマリさんって結構、「女性」としては辛辣な評価をくだされますよね?

 確かに、あれだけ開けっ広げの人ですから色気はないですね、でも私個人的には素敵な女性だと思います。



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