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"芸術家とデザイナー" by ブルーノ・ムナーリ/芸術家の夢は、美術館にたどり着くこと。デザイナーの夢は、市内のスーパーにたどり着くこと。


「芸術家の夢は、美術館にたどり着くこと。デザイナーの夢は、市内のスーパーにたどり着くこと。」

その通り。

前回は、ハッカーと画家。今回は芸術家とデザイナー。比較によって、その特性が明らかになることは多いですね。すべては事実を区別することからはじまります。

アートを切り口として建築デザインをしてきた人間として、独立後の方向性を模索している中でこの本に出会い、膝をポンとたたいた記憶があります。この比較が未だ曖昧に捉えられているとおもいます。さらに今は、デザインシンキングならぬアートシンキングのような言葉からさらに本質が見えにくくなってきているかもしれません。

本が書かれたのは1971年。その時点で彼は言います。

今日、芸術家とデザイナーの活動が混同されていないだろうか? 

二つの職業を並置し違いを明らかにしていく中で、彼が伝えたかったことは、すべてのものの企画設計を意味するデザイン。その言葉の意味を明らかにすることでした。それから50年近くたった今よりその違いが見えにくくなっているかもしれません。

【7days Book Challenge】-Day2

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”芸術家とデザイナー" by ブルーノ・ムナーリ

目次からすばらしい。
左に芸術家、右にデザイナー比較して行き来する。ビジュアルランゲージの体裁となっています。

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たくさんの素晴らしい記述がありますが、なかなか刺激的な内容です。

いくつか例を挙げると...

芸術家はファンタジアを、デザイナーは創造力を用いて制作する。
(p87 創造力)
ところで、芸術の分野には、ニセモノの芸術家によるホンモノの市場というのが存在する。もちろんここでもまた、多くの投資家コレクターの無能力さが頼りとなる。
(p72 ニセモノの絵画、ホンモノの量産品)
どこかの歩道にずらりと並べられ、たいてい山の風景かナポリの腕白小僧が描かれている商業作品と、ある種の美術店で売られている作品の違いは、たんに後者の側にある文化的自負(といっても決して現代的ではないが)でしかない。このような種類の商業芸術は、大部分のコレクターの大いなる無能力さの上でなんとか安定している。彼らは、商業作品を買い、投機していると思い込んでいるのである。(p13 序文)
芸術家の夢は、ミケランジェロの最後の審判、レオナルドのモナリザの後に自分の作品を付け加えることである。デザイナーの夢は、良き製品が田舎町のスーパーまで広まることである。

前回のHackers&Painters に加えて、本書にも、「美しさについて」(p.114)の記述があります。ここでは規範(code)という概念で説明され、前書同様、美しさは、好き嫌いで評価されるものではないとおしえてくれています。

最後に

ムナーリその人は、「芸術家」であり、「デザイナー」でした。

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