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【一章】少年死刑確定囚事典

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戦後犯罪の少年死刑囚のリスト/逮捕日から判決訂正申立まで網羅してます。新しい情報が入り次第更新しています。永続的に情報の引き出しとしてお使いいただけたらと思います。
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2021年4月の記事一覧

㉚ 強盗より誘拐は簡単 久保章《太田小一》(19)

「子供を誘拐する方が簡単」戦後の少年死刑囚で身代金目的の誘拐は二件あるが、そのうちの一件の加害者少年が検挙後に言った言葉。 「家に押し入るより誘拐の方が簡単だ」と… 太田小一こと久保章(19)は中学を一学期でいかなくなり豆炭工場で人夫をしていたが、長続きせずに左官見習いをしていた。 本件犯行前約1年間で窃盗や詐欺など12件の累行が裁判で認定されている。詐欺は主要食料購入手帳(米の配給や購入に必要)を騙し取る手口だった。 【下級裁判所刑事裁判例集1巻6号】略称は【下刑】 【昭和

㉛ 小松川事件 李珍宇《金子》(18)

小松川事件とは昭和33年8月17日午後5時ころ、東京都江戸川区小松川高校の屋上で読書中の定時制二年の女子生徒(16)が同校定時制一年の金子鎮宇こと李珍宇(18)にナイフを突きつけられ、大声を出そうとしたところを首を絞められ殺害され金品を奪われた挙げ句に姦淫された事件。 同月28日に電話ボックスから読売新聞社に事件の詳細を話す男から電話があり(電話は計5回)この男が犯人と断定し、声やしゃべり方から同年9月1日に自宅にて李珍宇を逮捕した。 なんとそれだけではなく、同年4月20日に

㉜ 雇い主一家3人強殺 小山輝夫(19)

犯行動機神戸で育った小山輝夫(19)は中学卒業後は酒造会社に勤めたが、酒に溺れ小遣いを注ぎ込むようになり、金員に窮し同僚名義でクーポン券で買い物をしていた事がバレて退職。 その後は被害者となる神戸市の自動車修理工作所で見習いとして働き給料の半分は母親に預けていたが、足りなくなるとせびる事を叱責され、知人などに借金をするようになった。それでも足りずに窃盗を繰り返し、盗品を質屋に入れても立ちいかなくなり、雇い主の妻を脅して金員を得ようという考えに至った。(多様性がなかった時代、パ

㉝ 毒殺と銃殺 平徹雄(19)

まるでB級映画戦後犯罪で判明している少年の死刑確定事件で『銃』を使った犯罪は3件ある。片桐操、永山則夫、そして平徹雄(19)だ。片桐、永山は有名だが平を知らない人は多いのではないだろうか? 以下に事件内容を記す。 事件は昭和36年5月31日深夜零時半頃、熊本市内の派出所に「話がしたい」と平が訪れ、対応した巡査と『愛情論』について30分ほど語り合い、平が持ってきていた毒入りのしるこの缶(青酸カリ)を差し入れ、口にした巡査は間もなく苦しみながら死亡(この時の平はどちらの缶が毒入り

㉞ 釧路雑貨商夫婦強殺 水尻隆幸(19)

今でこそ依存症は世間にも認知され、犯罪とも密接に関係し、法廷では通院歴や治療法、監督者はいるのか?までやり取りされるが、当時はそんな概念もなかったのだろう。水尻がパチンコ依存症になり犯行を企てるまでを振り返る。 水尻という男北海道の水尻隆幸(19)は中学卒業後は、両親の家業の手伝いをしたり、配送助手をしたりして特に目立った非行歴もなかった。母親のツテで製紙会社下請けの会社に就職するが、過重な作業内容、将来性などに疑問を感じ母親には相談せずに退職し、以降働かずに支給される失業

㉟ 少年ライフル魔 片桐操(18)

生い立ち 片桐操は小学校5年の時に母親と死別し、後妻とは遠慮がちな態度が次第に放任主義になり、指導されたりする事もなくなっていた。片桐は小学校2~3年の時から銃に興味を持つようになる。どこか冷たい放任主義の中で銃に対してよりいっそう興味を持ち、没頭していく。 犯行に使ったライフルは姉に買ってもらい片桐が18歳になって北沢署に名義変更を届け出た。錆びるし、指紋が付くと誰にも触らせなかった。 片桐の数少ない友人Kがライフルをぶっぱなし民家に当たり警察に事情を聞かれたエピソードもあ

㊱ 結婚詐欺殺人 笹沼充男(19)

生い立ちと被害者との出会い笹沼充男(19)は5才の時に父親が愛人を作って蒸発し母親も他の男と同棲生活の貧困で準保護家庭で育った。 小学校卒業後は住み込みとして各地を転々としてやがてはバーや喫茶店でのボーイなどをして生計を立てるようになったが、その時に知り合った女性A子と同棲をしている。 笹沼は他にもあやしい会社でセールスマンとして働いたりもしたが、水商売で覚えた話術だけは自信があったようだ。 美容師のY子(28)とは昭和41年8月頃に喫茶店で出会った。笹沼に気があるY子が自分

㊲ 極貧で育ち三人強殺 松本二三男(19)

あまりにも短絡的な犯行事件は昭和43年12月28日夜、栃木県那須郡烏山町の呉服屋で一家三人が裁鋏を分解したもので刺殺され金品を奪われる強盗殺人事件が起こった。 タンスから指紋が検出され、全町民のアリバイを調査するなどの捜査の結果、事件は翌年1月9日に東京で松本二三男(19)が逮捕されて解決をした。 その犯行動機は「東京の姉の家に行く時に着るきれいな服がない。持参する土産物を買うお金がない」というものだった。 松本はこの呉服屋を以前利用したことがあり顔見知りだった。 凶器は那珂

㊳ 歪んだ性欲 菅野純雄(19)

生い立ち宮城県の菅野純雄(19)の幼少期は農家の両親が多忙で、純雄を溺愛する祖父に任せ殆ど接触もなく、また純雄は友人と遊ぼうとせずに祖父だけが唯一の保護者でもあり、友人のような関係であった。 小学二年の時にその祖父が急死してからは塞ぎこみ、病気がちで友人も作らずに孤立していた。 高校も受験に失敗(兄が通う高校を希望)し、別の高校に行ったが、劣等感から内閉的、抑うつ的になりサボるようになった。 【刑月3巻1号】 歪みだした性菅野は学校をサボり街をぶらつき、ピンク映画や性関連の

㊴ 正寿ちゃん誘拐殺人事件 黒岩恒雄(19)

この事件は誘拐殺人事件として有名でネット上でも沢山発信されている。概要と当時の記事を簡素に振り返りまとめる。 正寿ちゃん誘拐事件とは昭和44年9月10日の朝の渋谷区恵比寿、黒岩恒雄(19)は身代金目的で登校中の質店の息子(6)を大胆不適にも他の児童らが見ている前で、拉致し公衆便所内で「泣くから」との理由で小刀で殺害し、遺体を旅行バッグに入れて渋谷駅東横線の荷物預かり所に預け、身代金500万円を要求する電話(わずか30秒のため逆探知出来ず)をした。この時の音声は当時のニュース