エジプト

経済的変化・社会的変化に対する対応には、やはり【イノベーション・マーケティング】

今、トインビー博士の「歴史の研究」を読んでいます。
その中で、過去の人が、経済的変化や社会的変化に対してどう行動したかを見ながら、現在の私たちがどのように捉え、考えていくべきかを考察したいと思います。
『氷河期が終わったのちに、アフラシア地域は乾燥化の方向にむかう大きな自然条件の変化を経験し始めた。(中略)考古学者はアフラシアの乾燥化こそ、それに対する応戦としてこれらの文明が発生した挑戦とみなす見方を支持している。』(「歴史の研究」第二篇文明の発生 エジプト文明の発生より)

この自然環境の変化に対し、住民には下記の選択肢が与えられたというのです。
①居住地も生活様式も変えなかった
②居住地を変えず、生活様式を変えた
③居住地を変え、生活様式を変えなかった
④居住地も生活様式も変えた

ここで「居住地」「生活様式」をそのまま読んでも、私達の身近な話にならないので、この昔の事例を学ぶ為に仮に「居住地」を「市場(顧客ターゲット層)」と、「生活様式」を「職種・職業上必要な技術」と読み替えてみたいと思います。
①「市場・顧客」も「職種・職業上必要な技術」も変えなかった
②「市場・顧客」を変えず、「職種・職業上必要な技術」を変えた
③「市場・顧客」を変え、「職種・職業上必要な技術」を変えなかった
④「市場・顧客」も「職種・職業上必要な技術」も変えた

これだと身近に感じませんか。
結果論とすると、①が絶滅をしました。④がエジプト文明となった。

だからと言って、④のパターンは、全ての状況においても大成功する選択肢になるのか?と考えると、それはあり得ないと思います。
よって、私達が考察し得るのは、②と③になるのではないかと思います。

この件については、論点がずれているように感じるかもしれませんが、ドラッカーの「多角化の調和」に関する説が納得しやすいかもしれない。
『いかに集中が望ましくとも、多角化との調和が必要である。さもなければ過度の専門化に陥る。
同時に、いかに多角化が望ましくとも、あるいは避けがたくとも集中が必要である。さもなければ分裂と分散に陥る。単純さと複雑さはともに必要である。
(中略)
多角化を調和させ、一体性を保つための方法は二つしかない。
①一つは、共通の市場のもとに、事業、技術、製品、製品系列、活動を統合し、それによって高度に多角化しつつ一体性を保つことである。
②もう一つは、共通の技術のもとに、事業、市場、製品、製品ライン、活動を統合し、それによって高度に多角化しつつ一体性を保つことである。』(「マネジメント P・F・ドラッカー著」)

1、経済的変化や社会的変化は、急に起きることはそうそうにないと思う。
私が、言いたいのは、変化が目の前に来てからどうしようと考えるのでなく、常日頃から多角化できる要素をないかと模索し、小さい実験を積み重ねていくべきだということです。
組織に、そのぐらいの柔軟性がないと本当に変化が必要なときには右往左往する以外にない状態に陥ってしまうと危惧するのです。

2、もう一つ私が、勝手にこうではないのかなと思っていることは、上記1の内容を繰り返し継続している組織が、社会の変革をもし得る力、いわば文明の発生みたいな、そんな力を得るのではないかということです。

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