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遊牧民から学ぶビジネスのヒント①

世界に『遊牧民』の光彩を放つ歴史がある。私達日本人に強い印象を残しているのは「チンギスカン」「モンゴル帝国」「元寇」かもしれない。場合によっては、「源義経が生き延びて、チンギスカンになった」という話まである。

学校の勉強では、アジアの中で、中国に次ぐ、御馴染みかもしれない。

そんな『遊牧民』をトインビー博士は、『発育停止文明』と断じている。

※『発育停止文明』とは、文明が発祥すると3通りに分かれる。①『発達した文明』、②『流産した文明』、③『発育停止文明』。発育停止文明とは、生きてはいたが成長できなかった文明のこと。

もしかしたら『発育停止文明』と判断される理由は、『遊牧民』が定住をしなかったから?と思われたかもしれない。

今を生きる日本人だと、そう思われても誰も揶揄する者はいないと思う。でも、トインビー博士がそのように判断した理由は「定住」をしなかったという表面的な点ではありませんでした。

元々、彼らは農業で生活をしていた。自然環境の変化によって、今まで通りに農業をする為に「定住」する場所を変えるか、このままステップ地帯にとどまって「遊牧民」となるかの二択をせまられた結果、ある者は「農業」を選び、そして、ある者は「遊牧民」となった。

農業をやめてステップ地帯に踏みとどまった遊牧民の文明と居住場所を変えて父祖から受け継いだ農業を守り続けたかれらの同胞の文明とを比較すると、遊牧民がいくつかの点でまさっていることに気づく。(中略)実際、遊牧者の生活は人間の技術の勝利である。』(A・J・トインビー著「歴史の研究 第三篇 文明の成長」より。以下同様。)

1、季節の運行に支配された習慣・思考

かれが征服することに成功したてごわい環境は、いつのまにかかれを奴隷にしてしまった。遊牧民は(中略)気候ならびに植物成育の年周期のとりことなった。かれらはステップでの主導権を獲得することによって、世界全体における主導権を剥奪された。』(同文)

(1)習慣や思考が、季節の年周期によって枠をはめられてしまった。要は、「移動」すること前提で文明文化が築かれても「大きな飛躍」を遂げることが難しい。「根が深い文化」を築くことが難しい。やはり大仕事には、まとまった時間が必要であり、一時的にその場に住んでも、次の移動までの時間しかない。

そういう意味で、トインビー博士は、『遊牧社会は本質的に、歴史をもたない社会である。』(同文)と言っているのかもしれない。

どこか堂々巡りをすることになったのかもしれない。表現を変えると、「あまりも重い足かせ」の性で、今、目の前のことしかできない状態になってしまった、と言えるのかもしれない。

また、先程ご紹介した「遊牧民の生活は人間の技術の勝利である」とある通り、「特定の技術」に特化し過ぎた結果とも捉えることができかもしれない。行き過ぎた「特化」は、組織の硬直してしまう。

多角化には、適切なものと不適切なものがある。適切な多角化は、単一市場や単一技術の企業に劣らない業績をもたらす。不適切な多角化は、不適切な事業に特化した単一市場や単一技術の企業並みの業績しかもたらさない。(P・F・ドラッカー著 「マネジメント」より)

(2)大帝国を築くことができたとしても、たいていが短命で終わっている。それは、彼らの最大の強みは「機動力」でありながら、世界帝国を築いて「定住」するようになると、その彼らの強みを弱めることにもつながるばかりか、彼らの存在自体が社会の弊害となる社会を築いてしまい、結果元々の「定住」していた人間から放逐される結果となってしまった。

⇒「定住」というステージだと、元々「定住」をしている人間に分がある、という言い方をしても良いかもしれない。

⇒「計画的」でなかったということは、思わぬ成功をした。その結果、色々な誘惑に負け、自分を見失ってしまった。また、誘惑に負けない心構えを準備すらもしていなかった。

⇒「定住型」の人間と、「移動型」の人間とでは、築く国家のモデルがそもそも異なっているのかもしれない。但し、それも「移動型」の人間ばかりの組織であれば、それでも良いが「定住型」との混合だと難しさが増す。だからこそ、本能的に侵略をして大帝国を築くことが出来ても、それはあくまでも一時的なものに過ぎない。

【考 察】

(1)人は知らず知らずに思考が条件付けされている

自分はそのようなことは無いと言い張る人は必ずいると思う。このようなことを言っている私ですら、自分では気づかない点で枠にはまった考え方をしていると思います。

このことを忘れず、他人の話や多種多様な情報に接していきたいと思う。

(2)自分の強みを活かす職場環境を作る

これは目下私の課題の一つでもあります。私の場合、自分の強みを知る手法の一つで、ストレングスファインダーと気学を利用しています。

(3)「自分の強み」と「自分の強みから生まれたもの」。自分でも惚れ惚れするようなものであったとしても、少し自己満足をしたら、早々に陳腐化させる準備をして、次へのステップを踏むようにしないといけない。自己満足期間、2年とか、3年では長すぎる。反省反省。

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