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『どくだみの花咲くころ』1巻

面白かった!

「クラスのへんなやつ」と「クラスのへんじゃないやつな自分」が仲良くなるって話はパターンとしてよくあるわけで。
こないだ読んで2巻も買ってきた『君と宇宙を歩くために』とか、「よくできてるなー」と思ったし、マンガ大賞も納得だった。
「クラスのへんなやつ」が「どんな風にへんか」が明確だし、「クラスのへんじゃない自分」が「クラスのへんなやつ」と仲良くなる過程で生じてしまう「上から目線感」をうまく消して、ふたりだけが持つ「興味あること」一致していくという流れもよく出来ててうまかった。

ただこっちの『どくだみの花咲くころ』は(高校生と小学生の違いは大きいだろうけれど)そういう「うまさ」とは違うヘンな味わいがある。
「クラスのへんなやつ」サイドであるはずの信楽くんが「どっからどう見てもへん」というわかりやすさはなくて、かといって「噂が先行してるだけで実はへんなやつじゃない」ってこともない。おかしいはおかしい。でも急にまともな事を言ってきたりもするし、マンガ的な「キャラ」として片付けない感じ。それ故に「確かに小学生時代にこんなやついた気がする」という絶妙な案配になってると思う。
一方「クラスのへんなやつじゃない自分」サイドの清水くんも、メチャクチャ理性的なリアリストで退屈な日常をこなしているだけのようなやつかと言われればそれもまたちょーっと案配が違う。もっとわかりやすくそういう「キャラ」にしても良さそうなもんなのに、所々おかしい(というか1話の「鼻血」で「よっぽどコイツの方がおかしいのでは」と思えるくらい)。
その両者の案配がすっごく絶妙で、でも「実際の小学生ってこれくらいだった気がする」とも思える感じ。

個人的に一番いいなって思ったのは、「ぎぜん者」と言われて清水くんが怒るくだり。
実際読んでいる最中、清水くんから信楽くんへの視線にちょっと「上から目線」を感じたりもしていて、でもそこも織り込み済みでこの作者は描いてるんだとわかって、色々含めてグッときてしまった。
そりゃ小学生だもん。大人が唱えるお題目みたいなキレイさで「へんなやつ」と接するなんてムリだよなぁ。そんなやつの方が嘘くさい。むしろそういう色んなとこ含めて「クラスのへんなやつ」が魅力的に見えてるのは当然じゃないかというか。


んあー。
うまくまとまらん。
珍しく酒飲んでたからか。

とにかく、よくある話をよくあるパターンで無難に描くんじゃくて、「信楽くん」と「清水くん」じゃないとダメな、代わりがないふたりの漫画になってるので俺は好きです。

あ、アスパラのおしっこのとこも好き。あそこはストレートにグッときてしまった。「伝えたい」も「伝えたいと思ってくれたんだ」も、どっちもグッときた。

なんか全体的に「確かに小学生ってこんな感じだった気がする」という、創作で出てくる小学生とは違う生っぽい小学生らしさがあって、それがいい味出してるのかなぁ。とにかく面白かったです。好きー。

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