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『望郷太郎』11巻

読む前から面白いのは確定してる安定感。
馬車争のドラマチックな勝利があっても全てがすんなりと決まることはなく、展開される謀略と出し抜きあい。
その中で「うまいなー」と思うのは敵方の中心であるブシフの描写をなかなか見せないとこ。
太郎達の反撃で天秤が傾いている報告は逐一いっている筈だけど、それを聞いて焦ったり感情を出したりする姿はなかなか描かれない。
それがブシフ(というかその裏にあるヒューマ)の存在が、まだこの世界の「太郎の知らない闇」として奥深さを残して感じられる。
その状態での開戦が「一筋縄ではいかねえぞ」というワクワク感に繋がる。
こういう「パワーバランス」を描くのがいつもながら本当にうまいと感心するのです。

にしてもヒューマにいるのは多分太郎と同じく「500年前の人間」なんだろうなと予想してるんだけど、「ヒューマ=日本」の可能性が示唆されたということはやっぱり…ねぇ?

あとはキャラだとハッタが好きなんだけど、今回の表紙といい、なんか死亡フラグ立ってるようにしか見えなくてよぅ。ハッタがどういう答えに辿り着くかはすごく大事な気がする。
他だとオロヤンも好き。こういうキャラにちゃんと見せ場がある感じが山田漫画だなーと思う。欲深くて暴力も使うが頭もキレるという、損得勘定に聡い「親分」的なポジションのキャラを描くのがうまい。現実だとこういう人らがやっぱり一番怖いもんなー。

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