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『君と宇宙を歩くために』2巻

うん。いい漫画や。
1巻の感想でも書いたんですけど小林も宇野くんもたぶん発達障害なんだろうと思うんですが、病名をわざわざ明らかにさせずにキャラの主観で、そのキャラなりの思考•言葉で悩んでる姿を描くのはとても優しいと思う。
ていうのは、自分がそうだとか知らない若い人とかもたくさんいるだろうわけで。そういう人が「あーわかる」「自分以外にもこう感じる人いるんだ」という実感が何よりもまず「最初の勇気」になるだろうから。
漫画の見えるとこにはっきりと「発達障害の~」っていう文字があったら、そもそもが「自分の話」と思って読まないんじゃないかなぁと思うんですよね。「ああ、そういう漫画ね」という。
そういう漫画(発達障害を扱うことを主眼に置いた漫画)はそういう漫画で別にあるのだから気になるならそっちを読めばよくて。この漫画がはたしてる役割はそういうことではないんだろうなと。

あと1巻で気になったとことして「場所と時代感がわからん」と感じてたんだけど、ガラケーが出てきたことでやっぱ今よりは昔の話で、そこはやっぱり意図的だったんだなと。
今ほど発達障害という名前が病気としてしっかり認知される前の時代として設定してるのか、それとも作者の実体験として何か思い入れがあったり描きたいことがあったりするのかはわからないけど、意図的なんだとわかれば納得できた。

なんか真面目なことばっか感想で書いてしまったけど「そういう風に読む漫画じゃない」というのも何より感じるわけで。
シンプルに好きになってしまう主人公ふたりの日常を応援したい。そしてこのふたりの考えたことや悩んだことを、漫画をパタンと閉じた後に自分でもう一度考えてみたい。
そういう風に思えるようないい漫画やなーと思います。

あとこのふたりを通して知る脇キャラの人生にしっかりドラマがあるのもとってもいい。山田さんの話はめっちゃ良かった。
あと気になるのは朔のドラマなんだけど。どういう風に描くんだろうか。この作者ならただの悪役にしたりはないと思うけど、でも「無自覚な何か」を持ってるキャラだとは思うし。ただの「イイ人でしたー」となってもなんだかな。
朔と宇野くんが「コイツのことはわかんない」を超えて歩み寄る瞬間がひとつのクライマックスになるんじゃないのかなぁとは思っていて、そのドラマはちゃんと見たい。

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