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『逃げ上手の若君』16巻

略奪話の後の松井優征のコメントがとっても印象深い。

馬2頭にひとりで乗って生きた人間(仲間)を弾としてぶん投げて4万の敵を崩壊させるキャラを描いても、歴史的事実である略奪を省くことはしない。
「ここはエンタメとしてのデフォルメ」「ここは歴史への敬意」という自分の中のルールがメチャクチャしっかりある証拠だし、それがとっても松井優征らしいと感じる。
自分の中で決めた譲れないルールを絶対に守る描きかたと、歴史的に残されたものを「見方を変えてみよう」としてエンタメに落とし込む発想力。
改めて松井優征は『意思とアイデアの人』だと感じる。

今巻で明らかなぶっ飛ぶキャラとして描かれてる土岐頼遠も、とにかく「凄すぎる」を描く為に「凄すぎると現実がバグる」という見せ方をチョイスするアイデアと、それを一発でわからせる登場時の異様に丁寧に階段を踏んでみせる見せ方なんかもらしくてたまりません。
なんか改めて思ったけれど、ギャグか本気かわからない紙一重の表現方法で「よくわからんがとにかくすげえ」「思わず笑っちゃうけどこんなモノは見たことがねえのも事実」というバランスで楽しませる見せ方は『魁!!男塾』とか『聖闘士星矢』的な、ジャンプ黄金時代の劇画寄りな作品へのリスペクトなんじゃないかなぁとか思ったり。
それを天然で描くか意図的に描くかの差はあれど、「面白くしたい」というアイデアが溢れてる点に関しては変わらない。
やっぱ面白い漫画描く人だねぇ。大好き。

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