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『DOGA』1巻

かなり雰囲気のあるファンタジー作品。
よくある異世界物とはちょっと違う、海外小説のような空気感。
旅をするふたりは身体を失った貴族のヨーテと貧民街に暮らす怪力娘のドガ。

ヨーテの設定がかなり面白いです。ぶっちゃけ「即席サイボーグ」なんですが、デメリットしかない。歩くくらいしかできない。いきなり動けなくなる。肉声でも喋れない。マジでここまでデメリットしかないのも珍しいんじゃないかというくらいの役立たず。
更に今はまだしっかりと語られていない「故郷の兄との関係」がなかなかにエグそう。
とにかく縛られ自由を与えられず生きてきたことが強烈に伺えるヨーテの「海に行って人魚に会う」という冒険の動機とそこへのワクワクはかなり感情移入できる。

対してタイトルにもなってるドガ。今のところ出来ることも「人よりちょっと力がある娘」くらいなんだよなー。
とにかく「ここで生まれてここで死ぬ」を運命付けられてそれを疑いもせず受け入れてきたとわかるキャラ。そんな子が未知へと旅立ちこれかた色々なことを知っていくんだろうというワクワクは感じるんだけど、なんで彼女の方がタイトルになるんだろうというくらいの強烈な個性は今んとこ感じない(相手が死体サイボーグなら当然かもだけど)
わかりやすく「マンガ」な美少女的見た目じゃなく、ちょっと小太りで華の無い娘ってビジュアルにしたのは意図的だろうしその感覚は好きなんだけど、もうちょいこの子にしかない魅力が伝わってくればなぁとはちょっと感じてしまった。
世界観の雰囲気はすっごくいいので、あとは「このふたり」というコンビの魅力をどれだけ感じて、「このふたり」をどれだけ好きになれるかが肝心の漫画だと思うので、次巻以降はそれを期待したいなーという感じ。

旅立ちのシーンの見開きとかはめっちゃいい。
「出会った、そして始まる」という空気感は素晴らしいっすね。やっぱこういうのはワクワクしちゃうわなぁ。


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