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心臓のサイズが最大心拍数を決める? ~バケツリレーのたとえ~

みんな大好き心拍トレーニング。簡単な理論で実用的なトレーニングができて、いい事ずくめだが・・・いろいろ疑問が湧いてこないだろうか。僕が最近思ったのは、「最大心拍数は、なんの要因が決めているんだろう」ということ。「220-年齢だよ」とか言わないでいただきたい。それは、実験結果を並べた統計データであって、ここで問題にしたいのは、それを決めている原因のことだ。

最大心拍数を決めるのは、神経か、心臓そのものか・・・あるいは物理法則?

通常、心拍数を決定しているのは、自律神経であり、つまるところ脳(正確には間脳視床下部)である。リラックスしていれば心拍数は下がるし、興奮したり、運動したりすれば上がる。これはもちろん、筋肉の酸素要求量に脳が応えているわけでもあるが、「次の瞬間に高強度の運動をしなければならないかもしれない」という予測などにも反応する(敵に襲われるリスクを感じた場合など)。

では、最大心拍数付近ではどうなのだろう。最大心拍数は、脳が「これ以上速い電気信号は送れない」という状況なのか、あるいは、心臓側が、「これ以上の電気信号は受信できない」という状況なのか。もっとありそうなのは、心臓があまりに速く動いて損傷するのを防ぐため、心臓側で「レッドゾーン」のような設定があって、心拍数がそこに入ると心臓から脳に信号が送られ、脳がそれを検知して、電気信号を停止する・・・というモデルだ。

調べてみても「220-年齢」に関する記事ばかりヒットするのでちょっとうんざりしたが、信用できそうな解説を見つけたのでシェアしたい。

ただ、原文は、理系人間以外には、読むのが少々苦痛かもしれないと思うので、要点を絞ってまとめてみたいと思う。

心拍数は240~300くらいまで可能

ただし、これは心臓の筋肉(心筋)のスペックだけを見れば、ということだ。筋肉は電気信号を受けて収縮するが、次の収縮のためには、収縮状態をリセット(つまり弛緩)しなければならない。その上限値という意味で、上記の240~300という数字が出るようだ。

明記されていないが、神経の上限速度はさらに速いと思われる。つまり、最大心拍数を決める要因は、神経でも心臓そのものでもないということだ。

心臓はバケツリレー

しかし体はそこまで速度を上げさせることはしません。なぜなら心臓はわずかの間止まって、血液を満たすことが必要だからです。もし心臓が最速スピードで動いたら、あまり血液を送ることができません。

これはつまり、心臓が弛緩した時に、心臓に流れ込む血液の速度が要因となっていると解釈できる。もっと噛み砕いて、バケツリレーに例えてみたい。

10人ほどの人間が、監督の笛の合図でバケツリレーをしていると想像してみる。運ぶのは水で、水源は水道の蛇口だ。この場合、監督の笛が「脳からの電気信号」、バケツを運ぶ人たちが「心臓と血管」ということだ。先程引用した解説によれば、このバケツリレーの上限速度を決めているのは、水源(水道)だということだ。監督の笛はいくらでも速く鳴らせる。バケツ運びもかなり速い。だが、バケツリレーの一番最初の段階、バケツに水を汲むというプロセスが遅いということだ。水道を全開にしても、水が溜まるまではいくらかの待ち時間が必要だからだ。

つまり、最大心拍数を決める第一要因は、物理法則だということになる。僕としてはかなり意外だったが、いかがだろうか。

年齢の影響

20歳以降は1分間の心拍数から毎年1回ずつほどその数が少なくなっていきます。歳をとるにつれ、神経系の信号に反応する心臓の筋肉が少しずつ反応しなくなっていきます。

・・・ということは、心臓側にもやはり要因はあるということになる。脳の信号が減るんじゃなくて、心臓の反応が悪くなるってことらしい。

若年期は物理的制約の元で最大心拍数が決まり、加齢による減少は、心筋の老化による影響・・・とまとめてよいだろうか。

心臓が大きいひとは最大心拍が低い?

いわゆるアスリート心臓といって、長距離アスリートには、心臓が肥大化しているケースが多いという。先の解説では「安静時心拍数は通常の成人で60~100回ほど」といっているが、長距離アスリートはこれがかなり低い。高橋尚子選手は「30~40回」だったとされるし、僕も最小記録で38回くらい(普段は44回前後)。これは、心臓の容積が大きく、かつ筋力が高いため、一拍で拍出できる血液量が多いということだ。

だが、バケツリレーの例えが正しければ、心臓の容積が大きいということは、水が溜まるのに時間がかかるということ。物理的制約が大きくなるということだ。つまり、最大心拍数は低めになるといってよいのではないか。もちろん、最大心拍数が低くても、循環させる血液の量が十分なので、問題にはならないのだが

余談だが、シロナガスクジラの心臓は430kgくらいの重量があり、最小心拍数(安静時という概念は動物には不適)は2回(!)だとか。たった2回で、スクールバス二台分ほどの体に血液を巡らせているという。一拍でどれほどの血液を排出するんだろう。逆に、ハチドリは1000回を超えるらしい(睡眠時以外)。1000って。北斗神拳だな。

まとめ

最大心拍数の制限要因は、第一に物理的制約、第二に心筋の老化。
最大心拍数(安静時心拍数も)は、心臓の容積と大いに関係がある。

好奇心でいろいろ調べるうちに、ずいぶん長くなったw 
解釈違うよー、とかあれば、ご指摘願います。

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