ASEAN IP DATABASE(商標・意匠)収録状況

ASEAN各国の特許情報が横断的に検索できるASEAN PATENTSCOPEが衣替えし、ASEAN IP REGISTERとなったことは先日、研究会の中西さんからnoteで紹介がありました 。
 インドネシアをはじめとするASEAN各国の情報は各国特許庁データベースからもアクセス可能ですが、各国特許庁データベースでは出願日、公報発行日をはじめとする入力形式がばらばらで使いづらく、各国情報が横断的に検索できるデータベースは実務上も有用です。

リニューアルされたASEAN IP REGISTERには特許だけでなく、商標、意匠データベースも存在します。そこで、各国情報が横断的に検索できる他の無料データベースと、まずはデータ収録について比較検証してみました。

無料で利用できる各国横断検索可能な商標、意匠データベースとしては以下のものがあります。

意匠
1)Global Design Database (WIPO)
2)ASEAN DesignView (EUIPO)
3)ASEAN IP Designs (WIPO)
商標
4)Global Brand Database (WIPO)
5)ASEAN TMview (EUIPO)
6)ASEAN IP TradeMarks (WIPO)
(商用データベースとしてはOrbit Trademarkなどがありますが。)

それぞれ2010年~2022年出願について収録状況や動作などをみたところ、ASEAN DesignViewとASEAN TMviewでは3回以上連続して検索すると以下のようなロボットアクセスを防止するアナウンスが出て、「私はロボットではありません」とチェックを入れても検索条件がすべてクリアされてしまいます。また、直近数年のデータが未収録の国があったりして実用的ではありません。

Global Design Databaseは2019年まではPH, SG, TH, VNの情報が未収録でしたが2023年12月現在は最近分までデータが収録されています。
しかし、Global Brand Databaseは画面をリニューアルしたようでGlobal Design Databaseのような書誌事項を検索できる画面が見つからず収録を確認できませんでした。

その点、ASEAN IP DesignsとASEAN IP TradeMarksでは以下のように最新分まで問題なくデータが収録され、動作も安定しています。
データ収録のタイムラグやデータの欠落等詳細については改めて報告したい。

上記、意匠3,商標3データベースの収録検証の詳細は検索Tips「東アジア・アセアンの知財情報」No.59「ASEAN IP DATABASE商標・意匠収録」をご覧ください。

ASEANや新興国などでは特許情報より商標のにせもの(偽物)、著作権侵害などが現地法人を悩ませています。現地での具体的な状況などは日本貿易振興機構(JETRO)が発行するメルマガ「東南アジア知財ニュース」などで知ることができます(メルマガ登録はこちら)。

2023年12月19日
アジア特許情報研究会:伊藤徹男