ASEAN IP REGISTER襲名披露

久しぶりに覗いてみたらASEAN PATENTSCOPEがつながりません。色々と調べてみたところ、従来のデータベースがASEAN IP REGISTERを襲名披露してリニューアルされていました。こんな画面です。URLは
https://asean-ipregister.wipo.net/wopublish-search/public/patents
です。

トップページをざっと見たところは以前のASEAN PATENTSCOPEと、さほど変わりないように思えます。ただ少し触ってみると、ASEAN PATENTSCOPEより遥かにレスポンス良く応答してくれます。

同じような名前のご本家のPATENTSCOPEでも、ESPACENETとは違ってASEAN案件を潤沢に収録してくれていますが、収録件数を比較すると、ベトナム以外ではASEAN IP REGISTERの方が収録件数が多いようです。収録件数の比較表を記します。

少なくとも主要国のASEAN6については、ご本家のWIPO PATENTSCOPEでも、各国知財庁データベースに匹敵する収録を誇っていたのですが、この1~2年ほど収録が更新されないことが多く、「新しい案件」は各国知財庁データベースでないと調査できない状態が続いていました。ご本家への収録が途絶えたのは、このASEAN IP REGISTERに注力していたことが原因かもしれません。双方のPATENTSCOPEで、いつの時点に発行された案件まで収録されているのかを比較してみました。こんな感じです。

若干不思議なのがベトナムです。収録案件の最終発行日が1年ほど新しいのに、収録件数がご本家より少ないという逆転現象です。今後詳細な収録を追いかけてみたいと思います。

軽く触ってみたところ、このデータベースでは各出願ごとの書誌情報を収録したXMLファイルをダウンロードすることができるようです。この情報さえダウンロードできれば、VBAでParserを作ってやれば、必要な書誌情報を抽出したエクセルファイルが簡単にできあがりそうです。サンプルを添付しておきます。

ASEANでもフィリピンとベトナムが、このASEAN IP REGISTERと同じく、WIPOが開発したIPASデータベースエンジンを採用しています。2か国とも導入当初はレスポンス良く動いていたのですが、徐々に動作が遅くなり最近はブラウザ上でデータベースが立ち上がるまでに長時間が経過するという状況です。ASEAN IP REGISTERの前身のASEAN PATENTSCOPEも同様で、開設された当時は動作が速かったのですが、徐々に速度低下してしまいました。何が原因なのかわかりませんが、ASEAN IP REGISTERは現状のレスポンスが継続してくれることを祈る次第です。

アジア特許情報研究会/アイ・ピー・ファイン 中西 昌弘