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英語と漢語とカタカナ語【中国語】协调员・拦截器・甄别员(劉慈欣《三体II 暗黒森林》)

中国語を読むようになってもう長いので、意味のわからない単語に出会ったら、たいていは古い言葉か、新しい言葉のどっちかだ。

前者なら中国語のサイトか中中辞典を調べるが、後者ならグーグル翻訳で英訳するのが手っ取り早い。もともと英語から翻訳したものである可能性が高いからだ。

表題に挙げた3つの単語はSF小説『三体』の冒頭に立て続けに出てきたもので、明らかに後者だ。

グーグル翻訳すると、それぞれ coordinator, Interceptor, screener と出た。なるほど。

ちなみに翻訳言語を日本語に切り替えると、「コーディネーター」「インターセプター」「スクリーナー」と出た。

他の言語でも時々あることだが、いったん英訳して、それをカタカナ表記して、和訳したかのように見せかけている、ように見える。たぶん、日本語にはこれらの言葉に決まった訳語がないのだろう。

昔は「経済」「社会」「運動」など、西洋で生まれた概念を日本で漢語に翻訳し、それを中国が取り入れていたものだが、いつからか日本ではカタカナで音訳するのが主流になってしまった。

意味を伴わないので覚えにくく、普及しにくく、専門用語、ジャーゴンになってしまいがちだ。そして中国語に輸入されることもない。

カタカナ語を多用すると頭が良さそうに見えるから、という話もあるが、これは戦後に英語教育が盛んになって、それまでにあった漢文や古文の教養が廃れてしまったからではないだろうか。翻訳する方も、それを読む方も、漢文の知識が乏しいからではないか。

中国語ファンとしては、さみしい話である。

ところで「インターセプター」といえばマッド・マックスの愛車である。中国語版の映画では何と呼ばれているのだろうかと調べてみたら、 Interceptor だった。

拦截车ちゃうんかい。


追記 :  Interceptor の日本語の訳語は「迎撃機」もしくは「要撃機・邀撃機」のようだ。韓国語では「요격기」なので、おそらく日本語からの輸入だろう。日中韓における西洋語の訳語の異同を調べれば、初出の時期や当時の情勢を推し量ることができるかもしれない。

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