見出し画像

東京で久しぶりの器買い

所用で東京へ行った
夏から東京に住み始めた娘の家に
泊まった
不思議で楽しい幸せな時間

近くの美術館まで歩き、帰りは
バスに乗り、イタリアンのお店で
遅いランチ
また家まで歩いて帰ろうとしたら
あそこは器を売ってるお店だと
思う、と指を差した先に小さな
風情のある店が見えた
ちょっと寄って行こうか
作家展の最終日らしく
あともう少しで閉店の
所へするっと滑り込めた
ほーっ、なかなか良い
ゆったりとした空間に、上品で
優しい器が並んでいる
東京のあちこちには行かないと
決めていたから、このお店も
娘と行けた大切な東京の思い出だ
何かひとつ買って帰ろう
使い勝手よりも
便利さよりも
手に取りたくなるもの
いつまでも眺めていたいもの
手に取り器と話して、
小さなやや広がりのある小鉢を
ひとつ買った
大切に梱包された紙袋を
愛媛までそっと持ち帰った


こちらにいる時は、仕事に追われて
何もしていなかった娘
見事に家具を配置し、整え、色味まで
上品に揃えて、驚くほどちゃんと
暮らしていた
(私よりも家事能力があった)
冷蔵庫にあった、作り置きのおかず
夜遅くに出かけた買い出しの散歩
私の誕生日の為に作ってくれた
オレンジチョコケーキ
私の作った鰤の照り焼き
ファッションとお化粧指南
複雑な電車の乗り継ぎ
川沿いに歩いた様々な景色
一緒に行った図書館

いくら忘れっぽい私でも
情緒が伴えば今は覚えていられる
ついこの間の事のように鮮明に

急に決まった(決めた)
東京行きだった
安く早く行けるチケットを探して
行くと覚悟を決めたが大変だった
スケジュール的に難しい事をしたなと
後悔しながら出かけたのも事実だ

東京に来たことは、大正解だった
むしろ、来る様になっていたのだ
仕事、夢、心配、疲労、不安
ごちゃ混ぜになっていた私の脳内に
スカッと風が入り、シャキッとした

トランプのカードがめくれるように
答えがスルスル導かれた

もう毎日出来ない事と終わらなかった
作業を嘆くのも自分を責めるのも
しばらくお預けだ
いや、おしまいにしよう

出来る事と、出来た事に感謝して
楽しく無理のない私を生きよう

10年ほど前、毎月のパート代から
小さな器をひとつだけ買うのを
楽しみにしていた時期があった
義父母の介護と倹しい暮らし、
家族がぞんざいに扱う私の大切な器も欠けと割れが増えていき、私はついに器を買わなくなった

義父母の介護も終わった
子供たちも成長して巣立った
私はやりたい事を見つけた
失敗しながらも歩き出している

そうだ私は、自分のために
買いたい物を買っていいんだった
それすら忘れていた😆

この器の用途は最初から決まっていた

東京での娘とのキラキラした
大切な思い出を盛り付ける器

私が私らしく無理をしないで
笑顔で生きることを忘れない器

私のいろんな再生を約束する器

娘が私のために使ってくれた時間と
思いやりの魔法が消えない器

私の一生の宝物にしよう

娘よ、本当にありがとう

東京に行って良かった

新しいやりたいことのヒントも
見つかってしまった😁

思ったことは、どんどん叶えていこうと
心に誓った短くて濃い大切な旅だった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?