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行列の出来るリモコン #毎週ショートショートnote

 風邪で休んだ日の翌日、いつものように登校したら、自分のクラスに続く長蛇の列があった。しかも、その行列の先は、隣の席の秀一くんのところに続いていた。
 秀一くんは、なにやら話を聞いてはノートに必至に書き込んでいる。忙しそうなので、別のクラスメイトに事情を聞いた。

 なんでも昨日、市の偉い人がやってきて、秀一くんに「どんなチャンネルでも映るリモコン」というのを渡していったらしい。社会実験として、市民からランダムに選ばれたのが秀一くんなんだそうだ。
 民法のチャンネルが2つしかないこの町にとってはとんでもない代物だ。話を聞きつけた生徒たちが、自分の家に来て見たい番組を映してくれと、依頼しに来てるようだった。

 つい先日まで、二人で漫画やアニメの話ばかりして盛り上がっていたのに、一躍時の人のようになっている秀一くんを見ていると、なんだか胸がムカムカしてきた。まだ風邪が治りきっていないのかな、なんて、頭を振って切り替える。

 結局、一日中秀一くんのところには人が集まっていて、今日は話しかけることができなかった。

 いつもは一緒に帰るけれど……今日は独りで帰ろう。

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「――くん、待って!」
 後ろから声をかけてきたのは、秀一くんだった。
「今から家行って良い? 風邪はもう大丈夫なんだよね?」
「えっと、うん、別に良いけど……」
 リモコンのことはいいの?と聞くべきか悩んだ。
「やった! 凄いリモコンもらったから、一緒に今期アニメ見ようと思って待ってたんだ!」
 秀一くんはバカだなぁ、なんて、照れ隠しの言葉がこぼれた。

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 たらはかにさんの以下の企画に参加しております。
 今週のお題は【行列のできるリモコン】のお題で、【青春の香る】ショートショートでした。

 久々に参加させていただきました。青春感のある物語が好きなので、ちょこっとでも表現できていたら嬉しいです!

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