宝くじ魔法学校 #毎週ショートショートnote
「ちっ。今日も当たらなかったか。」
男は、手に持った夢の跡をビリビリと破いて、ゴミ箱に捨てた。
数年前に「宝くじ魔法学校」が出来てからというもの、普通の人は殆ど宝くじに当選しなくなってしまった。
しかし、男にとって、宝くじは生きがいだ。そう簡単に辞めることは出来ない。
「1等が当たれば、今の仕事ともオサラバできるんだけどな。ガキの頃に宝くじ魔法学校がありゃあなぁ。」
宝くじ魔法学校に入学できるのは16歳までという年齢制限があり、男は入学することは出来なかった。
「うだうだ言ってても仕方ない。今日も仕事を頑張りますか。」
ため息をつきながら立ち上がった男は、懐からちいさな杖を徐に取り出し、呪文を唱えた。
「ニナ・タンレンサン!……2-6-5、と。」
男は、空中に浮かび上がった3つの数字をメモに書き記し、家を出ていった。誰もいなくなった部屋の壁には、競馬魔法学校の卒業証書が飾ってあった。
(388字)
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たらはかにさんの毎週ショートショートnoteに参加させていただきました。初参加です。
宝くじ魔法学校なんて出来た日には、誰も宝くじなんて買わないだろうと思いますが、それでもやめられないという人もやっぱりいそうだな、と思ったのでした。
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