2月22日(木)雨とビュッフェ
朝からうんと寒い。
きのうまでは暖かったので、気温差で鼻がぐずぐずした。
雨もふっている。ベッドのなかで桐野夏生『デンジャラス』をよむ。
小説をすこしかく。
夕方五時に新宿でまちあわせがあり、山手線でむかう。
山手線はいつでもいやらしくこみあっている。
これからふらふらと遊びにいく自分のことは棚にあげて、みんなこんなに移動する必要があるものかなあ、と疑問をおぼえたりする。
新宿につく。駅の工事をしている。あっちもこっちも、ビニールシートでおおわれているものだから、駅の中で迷ってしまう。
どうにか駅ビルにたどりつき、ワインショップで適当なハーフボトルの白ワインを買う。
京王百貨店で友人のKさんとまちあわせる。
「新宿駅のなかで工事してるもんだから、迷っちゃった」
とKさんは言った。都会的で、東京のどこの駅にもくわしいKさんでさえ迷うのだから、新宿駅の工事はよくないものだ、と思った。
スターバックスでコーヒーをのみ、ひとしきり近況報告をしたあと、ホテルのディナービュッフェにいった。
Kさんとは昔の職場で知り合った。元銀行員だとかで、どうしてこんな給料のやすい職場にいるのだろう、と疑問をおぼえるほど、ものすごく仕事のできる先輩だった。
もともと先輩だったことと、ひとまわり歳がはなれていることもあって、わたしはいまだに敬語をつかう。Kさんは「タメ口でいいよ」とか言わない。そういうところが好きだなあと思う。
白ワインを一杯ずつたのみ、ローストビーフとか、たこのマリネとかをとりにいく。
いろいろな種類のチーズが置いてあり、切り分けて好きなだけ食べられるのが楽しかった。
苺のマカロンとか、苺のババロアとかも置いてあった。苺のフェア中なのだ。おなかがいっぱいで、胃がきりきりするまでたべた。
昔の職場がすぐ近くにあるので、そこを通って帰った。なつかしいねえ、と言い合う。
はじめてKさんとふたりでしゃべった日、わたしは「今日の仕事終わりに、新宿伊勢丹のほうまで行かなければいけないんですが、道がわからないんです。教えていただけませんか?」とKさんにたずねたらしい。
Kさんはくわしく道のりを教えつつも、こんな夜おそくに何をしにいくのだろう、と思ったそうだ。
はたして、十年前のわたしは、夜十時すぎの新宿伊勢丹方面になんの用事があったのだろう。全然おぼえていない。
Kさんにプレゼントの白ワインをわたして別れる。
ちょうどパートナーが出張から帰ってくる時間だったので、家のある駅でまちあわせて、一緒にかえった。
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